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無職が無職をやめるとき 不仲の父とバイキングにいってきた

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両親にまでマルチ講と疑われる

僕「明日、予約してあるからさ、ホテルのバイキング行こうよ。僕がご馳走するからさ」

と僕が夕食の席で言うと、両親はあんぐりと口を開けて、頭おかしいんじゃないの? みたいな目で僕を見ました。

母「一体そんなお金、どこから手に入れたの」
父「良い歳して、やっていいことと悪いことの区別くらい、つかないのか」
母「一緒に返しに行きましょう、ね? お母さん、ついていってあげるから……」
僕「待ってよ! そんな怪しいお金じゃないんだよ!」
母「ネズミ講? オレオレ詐欺? ビットコイン詐欺? 友だちや女の人から騙し取った? 窃盗……?」

これ、アレだ。ジャイアンが百点とったときに、実力じゃなく不正をした結果だろうと疑いボコボコにするジャイアンの母ちゃんのリアクションにそっくりだ!! オフ会で初めて会った人はさておき、まさか母親にまでマルチ講と疑われるなんて!

僕「違う! 違うんだ! なんていうか、その……とある会社から、僕のしたある行為について、報酬を得たというか……」

しまった! 誤解を解くどころか、なんかいよいよ怪しげな言い方になってしまったぞ!

とにかく、必死で弁解を続け、やっと「ネットビジネス」あたりでとりあえず納得してもらって、まだ半信半疑の両親を連れて翌日、ホテルに出かけることにしました。

別にバイキングじゃなくても良かったのだけど、父がバイキングが好きだという情報を事前にそれとなく母から仕入れていたので、そうすることにしたのでした。なんか、堅物の父がバイキングが好きなんて、ちょっと信じられないような、意外な一面を知ってしまったような気がしました。

ちなみに、出発直前に、ご近所の仲の良いおばちゃんの癌治療、検査の結果が芳しくなかったという電話を受けていて、家族一同ブルーでした。食事中も、話題は癌一色。僕はおばちゃんの娘さんの家庭教師をしていたこともあったくらいなのですが、最近アイドルデビューしたばかりのあの子も今、ショックだろうなとふっと心の中で思ったりしました。僕も親が癌になったら悲しくなったりするんだろうか。なるんだろうな、多分、悲しいけど、悲しくなるんだろうな。どうしょうもなく。

父「もし私が死んだら」

急に父がそんなことを言いだしました。僕は思わず遮って口を挟みました。

僕「死なないでよ。年金、もらえなくなると、マジで困るからさ」
父「……死体を埋めて、何も知らないとしらばっくれて、年金を不正受給したらいい」

……! 僕はビックリしました。お父さんが、お父さんが冗談を言った! マジか! 衝撃でした。全然笑えないけど。なんか気まずくなってしまって、僕は席を離れて料理を取りにいくことにしました。

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奥山村人

1987年生まれ。京都在住。口癖は「死にたい」で、よく人から言われる言葉は「いつ死ぬの?」。

@dame_murahito

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