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中卒シングルマザーが大学進学に挑戦したワケ

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「今日は眠れないんだったら、明日も眠れないんだったら、明日の明日は眠れるようにしてね。だめだったら怒ってかーかのこと無視するからね。覚悟しといてね」

小学校の日曜参観で、月曜日が振替休日になった6 歳女子の娘ちゃんを自宅待機させるわけにはいかず、大学の講義に娘ちゃんも参加させてみたシングルマザー女子大生の上原です★

娘ちゃんが90分間の講義に耐えられるか不安でしたが、宿題したり、お絵描きしたり、娘ちゃんなりに時間を潰してくれてホッとしました。学生からも教員からも特に何も言われませんでした。

さて、前回「時間ないし、お金ないし大変なの!」と騒ぐ上原をみて、「そもそもシングルマザーが大学に行くなんて無計画すぎる!」と思われた読者もいるのでは。はい。ごもっともです(笑)。そこで今回は、なぜ私がシングルマザー女子大生になれると思ったのかを、ちょいと振り返ってみます。

高校卒業するだけじゃ一生貧乏フラグ立ったwww

23歳で定時制高校に入学した年の5月。大学進学を考えていた私ですが、「大学に落ちたり、お金がなかったりしたら就職しよ!」と思い、軽い気持ちで、高校の職員室に置かれていた“高卒求人票”を見ました。すると、手取りが月8万から10万円の仕事ばかり記された求人票がズラッと……。「えwww これマジで言ってんのwww」が率直な感想でした(笑)。

私は産後2カ月でホステスに復帰しました。生きていくためには稼がなきゃだし、実家からの援助だって、負担を掛けすぎれば関係が悪化しちゃう(苦笑)。実際、関係が崩れてきたなあ、と感じている時期もありました。

産後すぐに働き出したせいで、娘ちゃんと一緒に寝る習慣がつきませんでした。だから私が休みで就寝時間に家にいると、娘ちゃんは落ち着かないのかグズって寝てくれません。産後8カ月になる頃には、完全に私と寝てくれませんでした。生まれたばかりの、かよわい娘ちゃんの姿など、どこにもなかったのです。

私だって娘ちゃんとの時間が欲しい。娘ちゃんが「習い事をしたい」と言えばさせてあげたい。だから今は水商売をするしかない。でも、このまま水商売を続けていても、そして高卒のまま就職しても、その夢は叶いそうもありません。手取り8万円の仕事じゃそんな余裕は生まれるわけがない。それどころか、「昼間はコールセンターで働いて、週3はキャバクラでバイトしてるの★」という、沖縄の若者にありがちなパターンになりそうです!

そのパターンを避けるために大学進学を決意し、高校に通い始めたのに、高校を卒業するだけじゃどうにもならない。「何のために高校に行ったの?」と自分に問いかけたくなります。

苅谷ショック! 母親の学歴が影響するとは……!

入学した直後に現実を突きつけられた高校生活1年目の夏休み。たまたま、夏休みの課題のために手に取った本を読んだ本があります。

その本は、教育社会学者の苅谷剛彦さんの『階層化日本と教育危機』(有信堂高文社)。第1章から第4章までは「ふーん」「へー」と読み流していたのですが、第5章「努力の不平等とメリトクラシー」を読んでいるうちに、泣いてしまいました。

なんと、両親の学歴は子どもの学習時間に影響を与えるとあります。しかも97年のデータだとパパの職業じゃなくて、ママの学歴が学習時間に影響を与えるって書いてある……。ってことはシングルマザーの私の学歴って、娘ちゃんの学習時間にめっちゃ影響与えるんじゃないの!? 私、まだ高校生なんだけど! どうしよう……!

しかも、私って階層で言ってしまえば下位なの!? 泣きたい! いや、泣いてる(笑)。

もう、第5章で57のダメージをくらってしまいました。由佳子の残りライフは43……。

さらにさらに! 最終章の「インセンティブ・ディバイドと未来社会の選択」を読み終えるころには、枕は涙と鼻水でビショビショに濡れて、私のライフは10まで下がっています! もうやめて! 由佳子のライフはそろそろゼロよ! 母親の学歴が子供の学習時間に影響を与える話なんて可愛いものだった(涙)。この本には厳しい現実がいやってほど詰まっている……。

しかし!!!! ここからは由佳子のターンです。

Mっ気が強い私は「おっしゃ! 都合悪いことはとりあえず全部スルーして大学進学するぞー!」と意気込み、涙を拭きました。明日のジョーもビックリな立ち上がりっぷりだと思います★ てへぺろ♪

それに両親の学歴やパパの職業とママの学歴が子供に与える影響は79年と97年のデータの比較です。もしかしたら2015年のデータで比較をしたら、当時よりもさらに母親の学歴が影響するかもしれません。だったらなおさら大学に進学する意味があるし、反対に影響が小さくなっているなら、それはそれでラッキーなはず。

とにかく大学に進学することを決めた私に与えられた選択肢は2つ。「計画性を重視して大学進学を先送りにするか」「とりあえず、合格してから考えるか」です。もちろん私は、計画性ゼロの中、大学受験へ向けた勉強をスタートさせました(笑)。とにかく勉強するために、睡眠時間を削り、2歳の娘ちゃんを膝に乗せて問題集をやる。今思うと、むちゃをしていた気もしますが……。そんなはちゃめちゃなシングルマザー受験生の生活については、また別の機会に!

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上原由佳子

1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

@yu756ka