連載

前世はピータン? 妄想物語とともに「ピータン入り冷やし中華」

【この記事のキーワード】

ある日、ぴいたん爺さんは、家で飼っていたアヒルたちが卵を産んでいたことに気がつきました。

「ほ? ほ? 卵? 卵じゃ~!!  何にして食べようかの? 楽しみ、楽しみ。ホッホッホ~!」

ひと~つ。ふた~つ。みっつ。よっつ。喜んで卵をカゴに入れます。
するとぴいたん爺さんを呼ぶ声が。
ぴいたん爺さんは立ち上がり、カゴをかまどのそばへ置きました。
コロン……コロコロコロ……ピタン。
立ち上がった拍子に卵がひとつ転がり、かまどの灰を巻き上げて止まりました。

「わしじゃよ。どうじゃ? 一杯」

近所の矢助(やすけ)爺さんです。手には酒の入った徳利を持っています。

「そりゃええの~! まあ上がりなされよ」

ぴいたん爺さんは卵が転がり落ちたことにうっすら気付いていましたが、早く酒を飲みたかったので後で拾うことにしました。

(効果音・宴)チャカポコ(効果音・宴)チャカポコ(効果音・宴)

矢助爺さんとは仲良しだったので、よくこうして一緒に飲んで過ごします。
時には他の仲間も呼んで楽しむこともありました。
宴もたけなわ。爺さんたちはとっても楽しそうです。
矢助爺さんはひょっとこのお面をかぶってどじょうすくいを踊っています。
ぴいたん爺さんは楽しげに歌いつつ、ヒョイと団子を口に放り込みました。

「うぐ……! ゲホゲホ……ゲホゲホ……ヒッ!!」

ぴいたん爺さんはしゃくり上げるような声を出したかと思うと、どうっ! と倒れてしまいました。

「おい、ぴいたん? ぴいたん! しっかりせいぴいたん!!」

……ぴいたん爺さんは団子を喉に詰まらせたせいで、死んでしまいました。
矢助爺さんは友達を亡くし、たいそう落ち込んでしまいました。
しかし涙を流しながらも時折フッと笑いが込み上げてもいました。

「まったく……しょうもない死に方しやがってよ」

矢助爺さんはぴいたん爺さんが生きた証として、桃の木のそばにお地蔵さんを立ててあげました。
桃の木の下では相変わらず村人が寛いでいる様子が見えます。

自分を灰の中に転がしたまま、酔っぱらって死んでしまったぴいたん。
卵は、夢の中で自分の出自を知りました。
そうだったの……
ぴいたん爺さんに対して怒っていいのか笑っていいのかよくわからないわ……

 

(手裏剣)(手裏剣)(手裏剣)グサッ!! (手裏剣)(手裏剣)(手裏剣)

 

ふわふわと浮かんでいた夢の景色がパチン!と消えて再び真っ暗な世界。
卵は夢から覚めたものの、何が起こったのかわからず息を潜めていました。

「畜生! 狙いを外して地面に刺すなんてくノ一の名が泣くよ! ……なんだこれ??」

くノ一が土に刺さった手裏剣を抜くと、拳くらいの大きさの土の塊が出てきました。
土を落とすともみ殻が、もみ殻を落とすと卵が出てきました。

「え? 卵?」

殻をむかれ、くノ一の手のひらの上にたたずむ琥珀色の卵。
心地よい風が吹いています。
過去の記憶が流れ去っていきます。
外の世界に出て空気に触れることができて嬉しい。
過去は過去。
茶色くなってしまったけれど、卵はこの体で生きていこうと決めたのです。

もぐもぐ……

〜完〜

この物語はフィクションです。
では参りましょう。「ピータン冷やし中華

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自意識和代

人の好意をなかなか信じられず、褒め言葉はとりあえず疑ってかかる。逆にけなし言葉をかけられて「なんて率直なんだ!」と心を開くことがある。社交辞令より愛あるdis。愛がなければただのdis。凹んじゃうよ! ラブリーかつ面倒なアラフォーかまってちゃんである。