あ、でも風呂につかってポジティブな言葉を口にするだけではないようです。ポイントは、〈口に水を含んで、湯の中で浮き、安心と感謝を感じること〉なんだとか。その理由は、〈生まれてから今までの間、もっとも美肌だったとき=生まれた瞬間〉の状態を再現して宇宙とつながるため。そうすると波動がアップし、入浴タイムに生まれかわる=魂をアップデートすることができるのだとか。
電子書籍界はトンデモ本が花盛り
宇宙と波動と美肌がどうリンクしているのかよくわかりませんが、ひとつ訂正させていただくなら、生まれたての赤子は、決して美肌ではありません。胎脂、血液、羊水まみれなのは肌そのものではないのでさておきで、肌は羊水でふやけてシワシワ。さらに2~3日もすれば、急に乾いた空気にさらさるので、粉拭き芋のようにカッサカサ。ヒーリングはイメージが重要なのかもしれませんが、美肌づくり=スキンケアは体の仕組みを正しく理解することが必須ですので、適当トークは控えたほうがよろしいかと。
同書では「だから僕がプロデュースした波動水を買ってネ!」という展開が出てこないだけマシかもしれませんが、〈お湯に塩orお酒を入れて浄化!〉などのスピ的入浴法のほうが、いくぶんか美肌効果は高そうです。著書はオイルマッサージをするときも〈水と同じ液体だから〉という理由で〈ありがとう〉と声かけしながら行うのだとか。同じ液体って、ずいぶん雑だな、おい! しかしこれくらいヌケていたほうが(天真爛漫と言うべきか)、好感が持てることは確かです。
ちなみに著者のプロフィールは、13年間ソニー・ミュージックエンターテイメントに勤務したという心理カウンセラー。同書には水の美肌効果に加え、〈オーブの写真〉なども掲載され、目に見えない世界をこよなく愛していることがよくわかりますが、『水からの伝言』の世間的評価など、目に見える世界のお勉強もなさったほうがよさそうです。
電子書籍が普及してから誰でも手軽に著作を販売できるようになり、このような謎本が大量に世に送り出されているので、〈わけがわからないよ〉な話が以前にもまして続々と入手できるようになりました。もはやウォッチングが、追いつかない(嬉しい悲鳴)! そんな感謝の気持ちに満ちあふれながら毎日湯船につかっている私ですが、電子書籍普及前と現在では、加齢の分、今の方が確実に汚肌です。
(謎物件ウォッチャー・山田ノジル)
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