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先日、担当編集者から「ヤバいオナニーしている男の人って、カエターノさんの周辺にいます?」と唐突に訊ねれました(正気ではない質問だと思います)。「いきなり何ですか……?」と問い返すと、読売新聞の医療サイト『yomiDr.』に掲載されていた過去記事のURLが送られてきました。「オトコたちよ、こんなマスターベーションを止めよう!」というなかなかショッキングなタイトルのこの記事は、2012年9月に掲載された泌尿器科医の小堀義友先生によるもの。小堀医師の専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症だそうで、先生執筆の最新記事「アマゾン川で泳ぎながらのおしっこは厳禁」は、読むだけで全身の血の気が引く夏にぴったりの恐怖系記事です。
件の「止めたほうがいいマスターベーション」記事の内容をざっくりとおまとめしますと、「不妊に悩むカップルの中には、精子や精液に問題がないのに、妻の膣内で射精ができずに不妊症に至るケースがあり(膣内射精障害)、それは男性の間違ったオナニーの仕方が原因になっている」というお話。
「不妊症の原因は半分が男性」という認識は、昨年ダイヤモンド☆ユカイさんが自らの不妊治療の経験を語った本が出版されたことなどを契機に、少しずつ広まりつつあると思いますが、膣内射精障害は女性側に「どうして私でイケないの?」と悩ませ、夫婦仲の悪化にもつながるというのですから深刻です。
セックスにも男性特権が……?
男性代表の顔をして意見を申し上げると、「セックスで射精できない」って、実存的な不安にさえ苛まれると思うんです。折りしも「週刊ポスト」(小学館)2015年7/17・24号では、またも【死ぬまでSEX】特集が組まれ、80代男性が「週1でセックスしてますよ」とその秘訣を語っていらっしゃいます。「若い男みたいな回復力はないから一晩に何度もイタすことはできないけど、丁寧なセックスで女性を満足させることはできる」と、高齢男性は“量より質”で頑張れ、みたいな内容です。しかしそこでも、「イケない」というお悩みについては触れられておりませんでした。
生きるべきか、死ぬべきか、男にとって射精はそれぐらい重要な問題として捉えられています(早くイキ過ぎても悩むし、イケなくても悩む。大変面倒臭いですね、男性って)。それに大半のセックスって、射精しないと終わりにならないですよね。それが常識ということになっている。だから男性がイケないと、相手にとってもセックスが不完全燃焼になる(んじゃないか、と男性は思っているし、相手を満足させられないことでものすごく自信喪失する)。そうした精神の危機を回避したいし、自信喪失もしたくないから、「イケないのは、お前のマンコに問題があるんじゃ!」と責任をパートナーに押し付ける男性も出て来てしまうわけです。
実際には膣は興奮すると血液が集中していわゆる“締りがよろしい”状態になるようでして(ペニスが勃起するのと同じですね)、「お前のマンコがゆるいからわしゃイケないんじゃ!」と責めるのは八つ当たり的な暴力でしょう。あるいは、セックスにおける男性特権とも言えるのかもしれません。とはいえ、女性も女性で、直接お相手をコキ下ろしはしなくとも、友人との猥談で「あいつマジ小さすぎ/早すぎ/ヘタすぎて気持ちよくなれないしイケないわ~」と嘲笑する(または深刻な相談の場合もあるかもしれません)ことはあるようなのですが。
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