
Photo by Cristina Souza from Flickr
多くの妊婦が悩まされる、定番の不調といえば、つわりです。代表的な症状である〈吐き気〉を和らげるには、炭酸を口にして気分をスッキリさせたり、吐き気を和らげる香りの入浴剤やアロマを使ってみたりと、その対策はさまざま。
昨今人気の健康法〈聴くだけ系〉にもつわり解消CDなるものが存在し、その商品名は『Morning Well(モーニングウエル)』。27分の曲が収録されていて、お値段は4820円です。一般的なCDアルバムが3000円前後ですから、結構お高め! しかし吐き気、不安、眠気、だるさ等が一気に襲ってくる思考力低下シーズンでは、「効けばラッキー」くらいのノリでポチッといってしまうのかもしれません。
つわりは原因が医学的に解明されていないことと症状の個人差が大きいので、これぞという解消法がありません。にもかかわらず、CDを販売しているサイトでは「バースセンターの助産師が検査したところ、90%の妊婦に効果があった!」と謳っています。マジで~? 「ドラッグフリー、赤ちゃんにも妊婦さんにも安全!」というトンチキな説明もやや気になりますが(それを言ったらツボ押しも整体も手かざしも、ぜ~んぶドラッグフリーだし)、そんなに素晴らしい効果が期待できるのなら、ぜひとも試してみようではありませんか。私でなく、知人がですが。
さて、CDを再生してみると波の音が流れた後、抑揚のない平坦なテンポと果てしなくダサく明るいメロディが……。周りの友人からは、「フロリダの人気のないショッピングモールでかかっているような感じ」「『ラビリンス』とか、80年代の映画の超どーでもいいシーンのBGM」というような、脱力コメントが返ってきました。
妊婦さんに試してもらいました。
ところでこのつわり解消CD、どんな仕組みで症状が緩和されるのでしょうか? 商品説明にはこんな解説があります。
・通常つわりは、脳から内臓器官に発信されるメッセージによって発生される
・音楽の音調、周波数、波動が耳に伝わることで、その情報伝達が遮断される
これらのつわり効果を発揮する信号は、犬笛のように認識できない音なのだとか。つまり、曲の良し悪しはどうでもいいって話でしたか。失礼しました。ちなみにこのCDをダビングやコピーすると周波数が圧縮されるため、つわり効果を発揮する信号が発信されなくなるのだといいます。単に「ちゃんと買ってね★」というメッセージに聞こえるのは、気のせい?
今回この謎物件のモニターをお願いしたのは、妊娠10週目でつわり真っ最中の編集者Sさん。6週目から始まったというつわりは「生きてるのがツラい!」(Sさん談)というほどヘビーなもの。入院には至りませんでしたが、「常に船酔いしてるようにムカムカして、テレビで食べ物が映るたび気持ち悪くなるんです。湯気でも気持ち悪くなるので自炊は放棄。もう、生きているのがツラすぎ……」という状況。が、がんばって~。
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