ここで私はカルチャーショックを受けました。それぞれトイレの個室に入り、先にHちゃんがそこから出たのですが、彼女は私が入っている個室のドアを叩きながら「メシ子ー、まだー?」と騒ぎ出したのです。これまでも、親子がトイレで同じようなやりとりを行っている場面を目撃したことがありましたが、いざ自分がその立場になると焦るし、他のお客さんもいたのでちょっと恥ずかしかったです。落ち着いてトイレを済ませられない……子連れ外出における思わぬ盲点でした。
その後、ちょうどお昼の時間帯だったので、ご飯を食べることに。Hちゃんに食べたいものを聞くと、「チキン」と答えました。なので、近くのケンタッキーに向かったのですが、Hちゃんはケンタッキーを知りませんでした。ちなみにマックは知っているそうです。確かに6歳であれば、行動範囲も限られているだろうし、家族がケンタッキーに連れて行かない限りその存在すら知らないこともあると思いますが、「ケンタッキーを知らない」というのは私にとってなんだか不思議な感じがしました。そもそも私は、Hちゃんと自分の世間に対する認識が違うこと。そして、見ている世界が違うことをあまり考えていなかったのかもしれない、とも思いました。
そして家に戻ると、またHちゃんの質問攻めが始まりました。私と主人は普段どこに寝ているのか、と聞かれ、「向こうの部屋のベッドで一緒に寝てるよ」と答えると、「相合いベッドじゃん!」と言われたり、私のマツエク&カラコンを見て「なんで目のところの毛が長くて目が茶色いの?」と言われたり……。子供の好奇心や発想力は、本当に思いもよらないところに着目するのだなあと感心しきりでした。
初めて一日中6歳児と過ごしてみて、楽しいことや驚いたこと、焦ったことなどさまざまな気づきがありました。ただ、私はフリーライターという職業柄、近い将来子供を産んでも自宅で面倒を見ながら作業できると考えていたのですが、絶えず踊ったり歌ったり話しかけてくるHちゃんと一緒に過ごしてみると、それはかなり厳しいものなのかもしれないとも感じました。実際には子供が就寝している間や、主人に面倒を見てもらっている間に集中して仕事をこなさなければならないのかもしれませんね。何はともあれ、今後子供が欲しい身としてはいい経験になった一日でした。
(リオネル・メシ子)
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