一般映画『百合子、ダスヴィダーニヤ』に登場する荒木(大杉漣が珍演!)は、15歳年下の妻を「ベイビー、ベイビー」と呼び、しつこくまとわりつく。離婚を切り出されると、「別れると死ぬ!」と大騒ぎ。また、ピンク作品『やりたい人妻たち』では自分が家庭内レイプをしておきながら、妻が怒る理由すらわからず、ただ戻ってきてほしいと懇願する夫が登場します。でも、その弱さをかわいいと思う女性もいるような……。
浜「男をかわいいだなんて思ったらダメだよ! それを知った途端、天井知らずにのぼせあがるのが男っていう生き物。基本的にバカなの。『やりたい人妻たち』では、結局、妻が家を出ていくけど、男の監督だとそんな結末にはしないね。妻が夫を許し、家に戻って仲直りセックスをして、めでたしめでたし……。最初の家庭内レイプはなかったことになる。アホらしい!」
女たちよ、エロい話をしよう。
監督の歯に衣着せぬ発言は実に痛快で、女子としては溜飲が下がることばかり。
浜「こんなふうにエロい話するのって、気持ちいいでしょ? 私がピンク映画の監督になって心からよかったと思うのは、性に関することを明るく、堂々といえること! 何をいったって『だって私、ピンク映画の監督だし~』っていえば、みんな納得しちゃう。エロいこと言いたい放題って、ストレスが溜まらないよね」
イエス! messy読者はエロい話が大好物です(キッパリ)。
浜「世の中にエロい女、増えたよね。私はずっとひとりで闘ってきたけど、いまは共感してくれる人がたくさんいるって実感できる。エロとちゃんと向き合って生きている女は、輝いてるよ。私はこれからも、そんな女たちがぎっしり詰まった映画を撮っていきたいね」
エロライフを謳歌している女性も、エロに悩んでいる女性も見ると膝を打ち、うなずき、気づけば中毒になっているのが“浜野ピンク”。一度見てみたいけど、成人映画館にいきなりデビューするのは、なかなかの冒険……。
そこで朗報!
この夏、一般映画館でピンク映画を鑑賞できるのです。そのチャンスとは、東京・渋谷の映画館「オーディトリウム渋谷」で、8月3~9日に開催される『浜野佐知映画祭』。前述の『百合子、ダスヴィダーニヤ』を始めとする自主製作映画4本に、ピンク映画2本を加えた充実のラインナップです。すべて35mmフィルムでの上映ということで、映画作品としてのピンク映画を堪能できる貴重な機会でもあります。
エロに触れ、感じ、考える夏。浜野監督がいうところの“エロと向き合い、輝いてる女子”が映画館に足を運ぶ……考えるだけでワクワクする光景です。
(取材・文=三浦ゆえ @MiuraYue)
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