インタビュー

故・今井雅之の二人のガールフレンドによるポリアモリー(複数恋愛)の論説

【この記事のキーワード】

――じゃあ、次は浮気の概念について話しましょう。

A子さんは淋しがりやという設定

A子さんは淋しがりやという設定

――この図のA子さんはBくんとお付き合いしていて、できればBくんと結婚して家族になり子供も産みたい、という将来設計を描いている。しかしBくんは、仕事や友人関係などが忙しいと言って、A子さんと過ごす時間を多くは持とうとしてくれず、A子さんは不満と寂しさを抱える。そしてA子さんは、Cくん、Dくん、Eくんともお付き合いをスタートさせた。だけどA子さんは、モノガミー。意味わかりますか……?

沙世 わかんない。

菜生 わかります。A子さんにとってC~Eくんは、暇つぶしだったり寂しさを埋めるツールだったり、Bくんにフラれた時の保険だったりするってことですよね。そのA子さんの行動は時間の無駄だなと思うし、私たちだったら絶対そんなことしない。Bと一緒にいたい気持ちを、CとDとEで埋められるとは思わない。もし私がBとCとDとEの全員と付き合うとしたら、それは全員が魅力的だからであって、全員を好きだから。つまらない恋愛はしない。この場合、Bくんが自分を見てくれたら、A子さんは他の男性を切るってことでしょう?

――本命一人だけに絞って、他の関係は捨てるとか切るとか、そういうことになりますね。沙世さんと菜生さんは、「他に好きな人ができたから、今好きな人とは別れる」という考え方自体が……

沙世 ないですね。嫌いにならないし。好きな人、みんな魅力的だもん。

菜生 嫌いになるくらいなら、最初から好きになってないし、深い仲になってない。たとえば私がZくんという男性とお互い好き同士だったとして、ZくんがXさんという女性を好きになったとしたら、私もXさんを好きになるって思う。私にとってものすごく魅力的なZくんが好きだというXさんは、やっぱりとても魅力的な人なんだろうから。

――わかんないですよ? Zくんと菜生さんは愛し合えるけど、Xさんは菜生さんとは愛し合えないかもしれない。

菜生 わかんなくない。好きな人が絶対だもん。私は沙世を好きだから、沙世の選択は絶対。だから沙世の旦那のことは私も好き。でも、沙世の旦那と私が大学の教室とかで普通に出会っていて、「沙世の旦那」じゃないんだったら、そこに恋愛感情は生まれないかもしれないけど。沙世が好きな人だから、好き。

――また「嫉妬」の話しますけど、じゃあ菜生さんは、沙世さんと一緒に暮らしている旦那さんに対して嫉妬もない?

菜生 ない。

沙世 私も菜生の恋人に対して嫉妬したことない。楽しいだけだよね。嫉妬とか……みんなどうしちゃったんだろうね? びっくりする。

菜生 世間から見たら、私たちのほうが「どうしちゃってんの?」だと思うよ(笑)。

沙世 でもさ、自分が好きな相手がいつまでも絶対に自分のことを好きかどうかなんて、確かめることは無理じゃん。無理なんだから、確かめようとせずに、お互い想いあっていればいいとおもうの。

――確かめたくてこっそりスマホを見たら、浮気の痕跡があったり。

沙世 世間の人よくそうするみたいだけど、浮気か浮気じゃないかの線引きも沙世はわかんないし、痕跡とかもちょっとわかんない。

菜生 そういうことするより、私にこれから先、新しく恋人ができたら、沙世のことを紹介する。

沙世 私も絶対そうする。

心の穴がない?

――不躾な質問ですけど、お二人は恋人全員とそれぞれ別々にセックスするんですか?一緒にすることもあるんですか?

菜生 全員といっぺんに一緒にセックスすることはないかもしれないけど、みんなでご飯食べたりはしますね。

沙世 そのほうが楽しいよね。

菜生 恋人たちを紹介しあっているから、みんな仲良し。私がその場にいなくても、私の恋人同士が一緒にいるときって、なんだか楽しそうですよ。なんでわざわざ複数と付き合うかっていうことを考えると、一人の人間とずっと付き合っていくと考えたときに、自然とそうなるっていうこともある。

――自然とそうなる?

菜生 私はどんなにその人を好きでも、その人の素敵なところを全部引き出せるわけじゃない。たとえば沙世の旦那は沙世の美しさをすごく引き出すし、それは私が出来ることじゃない。でも沙世の旦那がそうしてくれることで、私は旦那が引き出した沙世と付き合うことができる。沙世が私とだけ関係を持っていたら、知ることのできなかった新しい沙世の姿を見ることができる。

沙世 私は、うまく言葉で説明することができないかもしれない。みんなが常識として持っている概念を、私は同じように捉えられなかったりするから。だから菜生の、こうやってうまく言葉にしていくところを尊敬してる。沙世はナチュラルボーンなところがあるから、世間知らずで。菜生は、沙世の思ってることをそのまま言葉にしてくれる。それで、今度出る私たちの本も、私がずっと思っていつか本にしようと思ってたことを、菜生が言葉にしてくれて、形になったのね。そう、今井さんも本が出版されるのを楽しみにしてくれていたんだけど、出版が遅れて本の形では見せられなかったから……それは本当に残念。とにかく、私たちの中では、やっぱりすごく当たり前のことで、当たり前すぎて、説明するのが難しい。説明しても、難しく考えすぎ、とか言われちゃうこともあるしね。

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