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チュッとやさしく吸われたときの感覚を再現! クンニ系ラブグッズの新機軸

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Amazonより

 『オノマトペは面白いー官能小説の擬声語・擬態語辞典』(永田守弘著、河出書房新社)という本があります。古今の官能小説から、オノマトペが含まれる濡れ場だけを抜粋して1冊にしたものです。官能小説家の方々にとって、ここは腕の見せどころ。たとえばペニスの勃起具合、愛液のあふれ具合ひとつとっても、これでもかってほど工夫されたオノマトペが披露されています。

 そんななかで私がひときわ熱心に読んでしまうのが、クンニにまつわる表現です。たとえば……

・ぢゅぷぢゅぷという音が立った。突起を吸引しながら、佐平は恥芯に指を差し込んだ。(睦月影郎『手当て師佐平 白肌夢街道』)

・ひきつった顔を左右に振っていた悠美が、椅子の上でビクンッとのけぞった。山野の舌が、敏感な真珠肉をねちりと舐めたからだ。(神子清光『密色の檻』)

 といったふうに、ほんの1~2行の抜粋なのに、想像力を刺激されるには十分すぎるほど! 寝つけない夜に、ついパラパラとめくってしまうんです。

 ただ私、いろんなところで再三お話していますが、クンニ苦手派なんですよね。理由は、快感よりも羞恥心や申し訳なさが上回ってしまうから。適度な羞恥心はセックスにおいて有効なスパイスになることは知っているけど、その範疇を超えるんです。自分の性器へのコンプレックスが強いので、そんなところに口をつけられるなんて耐えきれないほど恥ずかしい。そして、相手に対して悪いと思ってしまう……。性器の形も色もにおいも味もすべて十人十色、その個性を受け入れることがセックスである! と日ごろ主張しているわりに、自分のコンプレックスはどうしても克服できないだなんて、矛盾していてスミマセン。

クンニとフェラの不公平感

 実際に舐めてもらいたいわけではないけれど、いえ、舐めてもらえないからこそ、私はこうしたクンニ表現で性的興奮が高まってしまうのでしょうか。でもこれって、活字にかぎった話なんですよね。動画では興奮しません。より生々しいから、というのも理由のひとつですが、そもそもAVなどでクンニシーンが少ないから、というのが大きいです。

 もちろん、それだけに特化したマニアックな動画もありますが、一般的なAVでクンニシーンは総じて少ないと感じています。あったとしても、時間が短い。フェラシーンと比べると、断然短い。なぜなら、クンニは男性が女性の股間に顔をうずめているので、絵として動きが少なすぎて間がもたないからだ、と聞いたことがあります。たしかにそこで、舐める・舌先でつつく・なぶる・キスをするように軽く吸う・強く吸い上げる……と多彩な愛撫を展開していても、それを見せるには女性器そのものもばっちり映さないといけないからそもそもNGだし、もし映せたところで動きが小さくてよくわからないってことなんですね。

 その影響で、フェラはセックスにおいてマストなプレイとなりつつあるのに、クンニは「別になくてもいい」「好きな人だけがするもの」と男性に刷り込まれてしまっているのでしょう。クンニ苦手派の私でも、この不公平感は納得がいかないものがあります。その一方で、「若者のクンニ離れ」という話も聞きます。messyでも一度、議論されていました。でも、したくない男はしなくていいでしょ。無理にしてもらったところで、女性もうれしくないはず。でも、だったらフェラしたくない女性のことも尊重してよね、ってだけの話です。

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