連載

10万円のセッション、膣ハグ、ひとり宇宙…子宮を崇めすぎて魔女化する女たち

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ひとり宇宙

 はじめて耳にするようなこの言葉は、〈幸せなセックスの伝道師〉である劒持奈央(けんもつ なお)さんが創作した、マスターベーションの造語です(ちなみにセックスは「ふたり宇宙」)。書籍『幸せなセックスの見つけ方~自分をまるごと好きになる『ひとり宇宙』レッスン~』(河出書房新社)によると、レイプ体験から心のバランスを崩し摂食障害で悩んでいた著者は、ひとり宇宙を通じて〈子宮が寄り添ってくれていてたこと〉を確認したといいます。そして、〈本来の自分を取り戻す〉ための〈ひとり宇宙〉を絶賛推奨中

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Amazonより

 本書で紹介されているひとり宇宙のやり方は特に変わった手法はなく、ごくノーマルなマスターベーションですが、こちらでも「子宮は宇宙&体内神社!」と謳われます。ただし子宮系と住み分けようと思ったのか〈膣〉にスポットを当てているのが特徴。膣に指を入れてキュッと締めることは〈膣ハグ〉、瞑想中の意識を膣へ向ける〈膣瞑想〉、低体温も〈膣冷え〉……と、もう何が何でも、まずは膣!!

 そして膣を活性化して自分の内面=子宮に向かいあうことが幸せなセックスにつながるのだと、説いています。さらに書籍だけではなく膣の潤いをキープする、著者開発の「インカローズ美容液」(30ml 12960円)も発売されています。膣を輝かせるのには、お金がかかるものですね。

子宮温め

『アラフォーからの女の生き方レッスンあげまん道』(心力教育出版)の著者であるちゃみさんも「子宮には幸せをもたらす力がある」と謳い、子宮を温めるケアを推奨しています。

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 そもそも子宮はそう簡単に冷える部位ではないことはさておき、ケアそのものはカイロを張るなど現実的なものです。……が、子宮を温めると子宮にため込んでいた本音が出てきて生き生きと本来の力を発揮、そして周りを幸せにする〈あげまん〉になれますよというお説は、前出の2つと同様のスピっぷりです。しかしこういった〈女にしか理解できない〉と謳われるジャンルで、〈直観(ときに子宮感覚と言い換えることも)を大切に〉ということを繰り返し言われると、結局それは〈女に思考はいらない〉という定番の古き悪しき価値観につながるんじゃないですかね?

子宮信仰で魔女化

 さらにこのほか〈エナビューティスト〉や〈性愛セラピスト〉など、子宮推し女子はまだまだたくさん。これらすべての子宮系女子がというわけではありませんが、布教者たちのプロフィールを見ると、性犯罪や拒食症、親子問題などでメンタルヘルスの不調を経験した人が多いという印象。だからこそ、〈子宮パワーで試練を乗り越え、キラキラのリア充ライフをゲット〉というPRに説得力が出てくるのかもしれません。そんな布教者たちに引き寄せらえるシンパたちもまた、多かれ少なかれ、メンタルが弱っている人たちなのでしょう。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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