
(C)柴田英里
先日、パソコンやスマホでサンリオ風のアバターが作れる『ちゃんりおメーカー』をやってみて、改めてサンリオの「カワイイ」は、フロイトが言うところの「肛門期」(※)的な可愛らしさだなあと思いました。
(※)「肛門期」:フロイトによれば、小児性欲には口唇期、肛門期、男根期(エディプス期)、潜伏期、性器器という成長に応じた段階があり、身体成長と性的発達が複雑に絡み合って進展するという。「肛門期」は、排泄時の肛門刺激で快感を得ている生後18カ月から4歳くらいまでの時期。
『ちゃんりおメーカー』でアバターを作成するためには、自分の写真を読み込んで作成する方法と、自分でパーツを選んで作成する方法があるのですが、私がやってみたのは後者です。
一応、キャラクターの性別を選ぶのですが、このとき選ぶ「男・女」の違いは、多少、「男」の方が「女」よりも足を左右に開いて直立していますが、基本的に服装の違いでしかありません。ヘアスタイル・輪郭・目・眉毛・鼻・唇・ヘアアクセサリー・イヤーアクセサリー・メガネ・ヒゲといったパーツは、どちらの性別をセレクトしても共通の選択肢が提示されるのです。
タテロールにりぼんたっぷりキラキラファンシーな「男アバター」にも、リーゼントとちょび髭でキメているイカチめポップな「女アバター」にも変身可能であり、「男か女かを選ぶこと」そのものが、マニッシュ寄りのファッションかフェミニン寄りのファッションかという、「洋服の系統」を選ぶことでしかありません(「男」の方が「女」よりも足を開いて立つことも、このファッションの差異に他なりません)。
つまり、自分でパーツを選んで作成する『ちゃんりおメーカー』における「性差」とは、「紳士服/婦人服」のように、一応の二元的な区切りはあるものの、それに縛られることなくどちらも選ぶことが可能であるし、その規範から逸脱ができるものです。
『プリキュア』シリーズや『戦隊・ライダー』シリーズに比べて、サンリオのキャラクターにジェンダーロールにしばられるものが少ないことや、性別そのものが非常にあいまいなキャラクターが多数であることも影響してか、『ちゃんりおメーカー』は、非常にクィア的な体感ができる仕組みになっているように思います。
あらためて考えてみると、サンリオのキャラクターには、性差やジェンダーロールだけでなく、「人間/動物」「有機物/無機物」といった枠組みを逸脱または横断しているものが非常に多いことに気づかされます。
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