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海女モチーフの萌えキャラが「おぞましい」理由

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碧志摩メグ公式サイトより

碧志摩メグ公式サイトより

 三重県志摩市の公認キャラクター「碧志摩(あおしま)メグ」がセクシーすぎる、と批判が集まっているようです。現役海女を含む市民らが、「女性を蔑視するデザインだ」として、市公認の撤回などを求めて署名運動を展開しています。「クール・ジャパン戦略」を背景に考えられた「かわいいキャラクター」ということになっているようですが、私見を申し上げれば、これに批判の声が上がるのは致し方ないのではないでしょうか。

 普通の女の子が海女さんの格好をしているだけ、の絵ではないから問題になっています。設定上、このキャラクターは年齢17歳だそうで、「17歳の女性」に「セクシーすぎる」記号(=豊満なバストがあからさまに目立つデザイン)を結びつけましたって公に発表しちゃうのがまずアウトでしょうね。同時に、現役海女さんで自らが「性的な視線」を向けられることを容認できない人は当然いるでしょうから、反対意見が出るのも当然です。海女の仕事は観光PR目的のセクシーアピールではないわけで。あと女性が女性として性的な目で見られることは、「自然の摂理で自明、オールOK」なことでは決してないのですよ。こういう展開になると、「二次元と三次元をごっちゃにしてる」との反論もテンプレのように出現するものですが、この二次元キャラクターを使って三次元に実在する町のPR活動をするんですよね、そしてそこには三次元の海女さんがいる。だからこそ露骨なセクシー表現をPR使用すべきではないと思われるのですが……。

非公認なら有りだった?

 このキャラクターが非公認で、物好きな人が勝手にやっているのであれば、このように大きく批判されることもなかったかもしれません。たとえば長野県佐久市の有志が作った“非公認”ゆるキャラ「ハイぶりっ子ちゃん」はどうなのか。ハイぶりっ子ちゃんは、同市を走っているJR小梅線の車両をかたどった被り物をした女性のキャラクターなのですが、胴体部分は全身タイツに、ブーツ手袋、腰に黄色いスカーフ的な布といういでたちで、女体のラインがものすごく強調されたものとなっています。首から下が、北条司の漫画『キャッツアイ』にでてくるようなセクシーなデザイン、と言えばわかりやすいでしょうか。

■長野県で出没中の「ハイぶりっ子ちゃん」がやたらセクシー

 これもネット上では「セクシーなゆるキャラ」として取り上げられているのですが、セクシーであることが批判されたり、ましてや反対の署名運動まで起こったりはしていません。

 対して、「碧志摩メグ」は市の公認。いわゆる「乳袋」(豊かなバストが袋のように描写される非現実的な二次元描写)は、性的な印象を前面にアピールしすぎで、それが市を代表するキャラクターだとされてしまえば、嫌がる人もいるでしょう。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra