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最高のセックス以外はセックスじゃない?『an・an』夏恒例特集に食傷気味

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 そこで紹介されるのは、とにかく男性を癒やし、ケアし、翻弄するテク。ときに笑わせ、ときに〈乳首で男性の頬や手の甲を愛撫〉というビックリ技をくり出しながら、男性の性感を引き出すのが女性の務めだそうです。女性だって受け身じゃなくてもいいし、相手の快感を高めるため積極的に働きかける姿勢はすばらしいけれど、ここまでくると〈サービス〉っぽさしかありません。こんなに徹底的にお膳立てしてもらって初めて勃つ男性って、なんだかなぁ。

 そうしてやっと勃起したペニスの愛撫法を指南するパートが、2015年のハイライト! ペニスを〈チャペル〉に見立てるそうですが……なぜチンコ=教会!? 一部女性のあいだで熱狂的に支持されている〈子宮教〉では、〈子宮の「宮」は神社の「お宮」を表し、膣は参道の役割〉と考えられているそうですが、それに近い考えなのでしょうか? 私にはさっぱりわかりません。そして「各部位のキュートな呼び名に注目♡」として紹介されていたものの一部を、下記に抜き出しました。

 尿道口=亀頭の一つ目小僧
 亀頭=チャペルの屋根
 カリ=愛の果実(ドーム型チャペル)
 裏筋=愛の吊り橋、樹木ヴァージンロード
 睾丸=愛の細道へつづく……

 チャペル的な世界観で統一されるかと思いきや、「亀頭の一つ目小僧」といきなり妖怪が出てくることにまず驚きましたが、すべてどうツッコんでいいのかわからないほどのオモシロ物件です。

2015年は男性目線も取り入れました!

 セックスに飛び道具的テクニックはありません。特殊な技術は必要なく、基本を押さえつつ、その人に合った愛撫をするのがいちばん、という意味ですが、雑誌の特集などでは、とにかく「いままでないテクニックや知識」が求められます。私もたびたび「バイブの新しい使い方ってないんですか?」と訊かれますが、バイブの新商品はあっても、新しい使い方なんてそうそうあるわけがない。チャペルもヴァージンロードも斬新ではありますが、ただ奇を衒ってみただけという感が否めません。

 そして今年は、男性側に切り込む「男のSEX解体新書」が8ページにわたって展開されていました。AV男優のしみけんさんや、みうらじゅんさんがエロスの教祖として降臨し、男性の体や性感、性反応について教えてくれます。そのなかの「こんな男はこんなセックスをする」という企画を最初は楽しく読んでいたのですが、だんだん気持ちが萎えてしまいました。

・お腹がぽっこり出ている人は、淡白なセックスをする
・筋肉がググッと盛り上がったふくらはぎの持ち主は性欲強し
・肩を揺らして歩く男は、上手に腰を振れません

……のような小ネタが計50も紹介されていて、真偽のほどは別として根拠も記されているのですが、ルックスや行動の特徴で、セックスの巧拙や性癖を判断するのって、あまり上品な行為だと私は思えないのです。男性が、「こういう外見の女は、こういうセックスをする」「こういうクセのある女は、◯◯癖があるはず」「こういう女は、すぐヤラセる」というような会話をしているのって、すごく不快。ルッキズム的側面も強いし。されたらイヤなことをし返すことが、「愛と絆が深まる、最高のSEX」につながるのでしょうか?

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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