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『Woman』吐き気がするほどの鬱展開なのに、目が離せない

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日本テレビ『Woman』公式サイトより

日本テレビ『Woman』公式サイトより

 放送開始前から「水曜10時のドラマ対決」と煽られていた『Woman』(日本テレビ系)と『ショムニ』(フジテレビ系)。後者の初回視聴率は18.3%で、裏で放送していた『Woman』第二話の11.3%に完勝したが、翌週には13.8%にダウン(※ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。そして24日の放送では、『Woman』が13.9%と上昇し、『ショムニ』は9.9%と一桁台に落ち込んでしまった。

「一般職OLのスカッとする活躍を描いた『ショムニ』の第一シリーズが放送されたのは1998年。その後02年に第三シリーズを制作してから10年が経ったのに、脚本も演出も古臭く、視聴者に受け入れられていません。一方の『Woman』は、主人公・小春(満島ひかり)にこれでもかと襲いかかる不幸のオンパレードに、視聴者がうんざりしている感はあるものの、役者陣の達者な演技と脚本・演出が巧みで『ありえないほどの不幸ストーリーなのに、リアル』と高い評価を得ています」(テレビ誌ライター)

 ただ、演技力や細かい演出でリアルさを担保してはいるものの、あまりに不幸すぎて現実離れしているように感じる点も否めない。小春は夫と死別し二児を抱えるシングルマザーだが、高い保育料を払わねばならない保育所に子供を預けてアルバイトをし、生活費を稼いでいる。しかし自治体によっては「ひとり親家庭」には公的援助や減免があるはずで、保育所の優先入所や保育料の減免が可能だ。また、無利子や低金利で生活資金などを貸し付けてくれる母子福祉資金もある。こうした社会福祉制度に頼れずにいる様子や、夫が亡くなる前に生命保険をかけていなかったのか、遺族年金はどうしたなどの疑問も残る。しかし視聴者がそうした疑問を抱きつつも目が離せないほどのドラマである、ということでもあるだろう。

もう見たくない、けど…

 『Woman』は第4話にして、夫が痴漢冤罪をかけられ事故死・貧困なのに生活保護が通らない・実母との不和・主人公の難病など災厄の玉手箱状態。放送中にはTwitterでハッシュタグをつけて感想をつぶやく視聴者も多いが、4話では小春の異父妹・栞(二階堂ふみ)が実母・紗千(田中裕子)へある重大な秘密を告白するシーンから、

「鬱展開がとんでもな過ぎて吐きそう」
「もう見たくない…。やめてくれ…」
「母として妻として毎週辛過ぎて吐きそうになってるけど見る」

 などといった悲鳴が続出した。栞は、紗千と一緒にデパートで洋服を買った帰り、二人でカラオケへ行こうと誘う。二人きりの密室で、娘は母親に、とんでもない告白をしたのだった。

 幼い頃から「絵が上手ね」等といつも母親に誉められて大切に育てられてきた栞は、現在美大を目指して予備校に通う19歳だ。しかし彼女の心は屈折していた。

栞「何もできないくせに自己評価ばかり高いから自意識ばかり強いからいじめられるの。小学校の時も中学校の時も、ずっといじめられてたんだよ」

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