もちろん、撮影現場は役者とスタッフそれぞれの協力あってのもので、場の空気を乱す人間がいたらスムーズに進行しないだろう。しかし女優に関する“現場の悪評”は、そのほとんどが、スタッフによる「気遣いのできる女性か否か」に終始しがちだ。だから“イイ話”として語られるのは大抵、「差し入れを持って来てくれた」「末端のスタッフにも笑顔で挨拶をしてくれた」といった、いかに現場スタッフの心を潤してくれたか、になる。戸田がスタッフや監督に自分の意見を伝えたり、演出に口を挟むのは、むしろ良い作品づくりにつながる“イイ話”だと思うのだが、それが疎ましがられるのだとしたら、映像業界のおかしな常識である。
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そもそも、現場には仕事をしにきているワケであり、それをこなすことが最優先。多少周囲に気遣うことは必要だが、それよりも大切なのはいかに自分が演技に集中できるかどうかではないだろうか。もしも戸田が、後者を優先した結果、「第二のエリカ様」と言われるようになってしまったのだとしたら気の毒である。女優は、決して「謙虚でニコニコする職場の華的存在」になる必要はない。
今年に入ってから、『エイプリルフールズ』、『駆込み女と駆出し男』、『予告犯』、『日本のいちばん長い日』と、出演映画が続々と公開されている戸田。悪評があっても、この作品数こそが彼女の実力を示しているだろう。
(ルイコスタ松岡)
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