
Amazonより
ページをめくるたび、これは21世紀に作られた雑誌なの? とめまいに襲われました。先週さんざんツッコミを入れた『an・an』のセックス特集は、まだマトモだったんだ……と知りました。そう、『an・an』はツッコめるんですよ、笑いという余地を残してくれているから。チンコ=教会なんて、まるでダチョウ倶楽部。「笑うなよ、笑うなよ」といいながら、笑ってもらうのを全力で待っている。うんざりする記事が多くても、毎年つい手にとってしまうのは、それゆえです。
で、今回はじめて『GLITTER』9月号のセックス特集を読みました。その感想をひと言でいうなら、
「私たち女性は、ここまでして男性にセックスしてもらわなきゃいけないの!?」
でした。女性から男性に積極的に働きかけ、セックスをすること自体はすばらしい。みずからの欲望をただしく見極め、その解消のため能動的に行動するって、健全で当たり前のことですよね。欲望が薄く、セックスそのものに消極的な人もいますが、それはそれでセックスとの距離感を決める必要があります。相手がいることなので自分だけで決められないことも多々あるとはいえ、それでも主体性をもって自分がどうするかを決めていいのです。欲望の強さやセックス観は人それぞれでも、「自分の性の主体は、自分にある」というのは誰にとっても同じです。
同特集は「メンズ113人に聞きました! 本音リサーチ」から始まります。類似の特集では、「私たちのセックス事情をリサーチ!」的なものからはじまるのがスタンダード。読者、もしくは読者と同年齢層の女性たちへのアンケート結果です。でもまあ、セックスする相手について知るのも大事といえば大事……と自分に言い聞かせながら読み進めたのですが、早々に失望しました。
ここでは「私たちはどんなセックスをしているのか、したいのか」ではなく、「男はどんなセックスをしているのか、したいのか」に重きが置かれています。そんな姿勢で行われたアンケートだけに、よくもまぁこれだけ好き勝手なことをいえるなという回答だらけ。「ベッドで相手がどんなことをしたら燃えますか」→「何でも言うとおりにしてくれたら燃える」とか、「セックスレスになった原因」→「いつも彼女のイキかたが一緒で飽きた」とか。男性の幼稚で身勝手なセックス観をあぶり出すという意味では有意義でした。
いくら匿名のアンケートでもそんなことを平気でいう男と私は寝たくありません。が、同特集ではこの後、どうしたらそんな男たちに抱いてもらえ、悦んでもらえるかの具体策が続々と展開されます。以下、その一例を紹介しましょう。
身体は男性好みにカスタマイズ
アンケートによると、男性の約半数は「最近ドキドキしていない」そう。そんな男性の関心を引くべく、とにかくフェロモンを出せと読者を煽ります。フェロモンと女性ホルモンを混同しまくる内容も、エストロゲンを増やせばフェロモンが出ると誤解を招く記事も、指摘することすらアホらしい……。極めつけは、「メンズを引き寄せるフェロモンボディの作り方」。〈ウエスト、お尻、脚と男性が好きな部分が詰まった下半身を徹底的に鍛えるのがコツ〉といわれて、せっせとエクササイズに励む女性がもし本当に存在したら、肩をたたいて「ねえ、自分のためにきれいになろうよ」といってあげたいです。