同じ教材で情報リテラシーの重要性を訴えている
この副教材には「健康情報」という項目があります。題名は「情報に惑わされないで!」。高校生の多くが携帯電話やスマートフォンなどを持つ中で、専門性の高い健康情報には不適切なものもあり、その対策方法を例示しているのです。今回の件を思い浮かべながら呼んでみましょう(適宜編集)。
・誰が情報発信しているか → ○○大学だけでは本当の専門家とは限らない。情報提供によって利益を得るスポンサーがいるかも?
・情報発信の際にどのような工夫がある? → 抽象的な表現や過剰な表現でごまかされているかも??
・ターゲットにされていませんか? → 男性や女性、受験時期の年齢層など特定の対象に角の不安を与えるような情報では?
・発信された情報に省略されている内容がありませんか? → 健康被害が生じる可能性が省略されたり、小さく取り扱われていませんか?
・なぜこの情報が発信された? → 情報の発信は利益をあげるためだけでなく、個人・団体の考えを広めるために発信されることもあります。
……この副教材を、まさにこうした情報リテラシーを身に着けるための教材として活用して欲しいという意図があったのではないかと思ってしまうほど、有効な対処法です。
正しい情報と、情報の使え方
なお、元の論文と副教材で使われているグラフに齟齬があるとはいえ、「22歳がピーク」であることは嘘ではありません。
そうだとしても「22歳がピーク」と示すことについて、私は反対をします。「22歳」という数字が一人歩きすれば、高校生だけでなく、いつか子供が欲しいと思っている20代以降の人に対して、不安や焦りを無意味に煽ることになるでしょう。少なくとも元の論文によれば、もう少し歳を取っても、妊娠のしやすさはさほど変わらないのですから。
私は妊娠や出産については、あらかじめ正しい知識を手に入れることは誰にとっても重要なことと考えています。だからこそ、情報発信は十分に取り扱いを注意しなければいけない。そのことは東日本大震災以降、痛いほど学んできたはずではないのでしょうか?
現政府の行う「女性活躍」は疑念の目が向けられているのが現状です。そうした中で、改変されたグラフが使用されているのは、誰かの利益になっていたり、あるいは考えを広める意図があるのではないかとつい、疑念を持ってしまいます。
(門田ゲッツ)
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