連載

男友達との同棲はセックスなきコミューンの実現だ

【この記事のキーワード】

 恐らく、男ふたりの共同生活には同じような楽さがある、と想像しています。恋人や妻と違ってある程度の雑さをお互い許容できるだろう、という(もちろん男性同士でも恋人関係であれば話は別でしょう)。もっと好きになってもらおうとか、好かれ続けようという努力も友達関係では発生せず、セックスに関するさまざまな手続きも必要がない(知ってますか、夫婦になったらヤリ放題なんてことは決してないのですよ、安定した心地よい関係を維持するためにはさまざまな気遣いと手続きが重要なのです)。めんどくさいことがないうえに、趣味が共通の友達だったら、その楽しさは二人で楽しめてしまって、ひとりよりも楽しい! 最高です。極端な言い方をすれば、セックスなきコミューンが実現される、みたいな感じでしょうか。

 恋人や妻との愛だとかセックスだとかに払うコストの大きさ、そして自分がそれらに無意識に見積もっている価値も測れるような気がして、男友達との共同生活は思考実験としても興味深く思います。愛もセックスもない代わりに楽しい……その心理的な面では、女性が同性の友達と共同生活をおこなう場合でも同じ効果がありそうです。しかし、男同士の場合、経済的にも効果は大きい。一般的に男女の平均収入の歴然とした差を考えれば、世帯の収入が最も大きくなる組み合わせは、必然的に女×女でも、男×女でもなく、男×男、なわけです。

 ……というようなことを気がついたら編集者に語っていました。なお、編集者曰く「女同士で飲んでると、年をとって、子供の手が離れて旦那も死んでるか離婚してるかだったら、土地持ってる誰かの実家のある田舎にみんなで集まって野菜育てたいとかいう話が出るんですよ〜」とのこと。これもまたコミューン志向のあらわれでしょうか。野菜育てたいとか言って、虫とか平気なんでしょうか、あなた方は、と内心突っ込んでしまうんですけれど。田舎にはカマドウマが出ますよ?
(カエターノ・武野・コインブラ)

1 2

カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra