インタビュー

男子からの「好き」を集めて自己肯定の材料にしていた。元サークルクラッシャー・鶉まどかの考えていたこと

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 キャバクラはお給料が普通のバイトよりは少し良い、という理由もあります。大学進学したら、もう母親から解放されたいって気持ちも芽生えて、女友達の家を泊まり歩くようになったんですね。でもそうすると生活費やおこづかいは自分で捻出する必要があると。そんな時に、オタク向けのキャバクラがあると知って、面接を受けに行きました。オタク向けのキャバクラっていうのは、きらびやかなキャバクラのイメージとはちょっと違います。キャストとして働く女の子は全員、アニメ・漫画の知識がないと面接に受からない。衣装ももちろんドレスではなく、かといってナースとかメイドとかのコスプレでもなくて、全部アニメやゲームに登場するキャラクターの衣装で、そのキャラについて語れる子じゃないとそれを着ちゃいけないっていうルール。

――非オタク女性には敷居が高いですね。鶉さんはアニメや漫画の知識があったから、受けてみようと思ったんですね。

 はい。そして奇跡的に面接に受かることができて、半年間、キャバ嬢としてサークラの基礎を学びました!

――サークラの基礎とは?

 女の子は、男の子のイメージ通りに振る舞う、ということです。

――アニメキャラになりきるように?

 そうですね。そこのキャバクラに来るお客様は、ガチのオタクでお金もそこそこ稼いでいる業界人の人が非常に多かったです。たとえばフィギュアの原型師さんとか、結構有名な漫画家さんとか、そういう人が非常に多くてですね。しかも皆、語りに来てるので、ビックリする程セクハラとかがないクリーンなキャバクラ。

――働きやすそうな環境ですね。

鶉 でも入店する時に店長から言われてびっくりしたのが、「指の毛は絶対に剃れ」ということ。

――なんで特に「指毛」?

 「オタクの男の人は、女の子に指の毛が生えてるっていうだけで悲しんで、自分の理想と違ったって言って帰っちゃう人がいるから」だと説明されたんです。何それって思うじゃないですか(笑)、三次元の女性なんだから指に毛も生えるし、汗もかくわーみたいな。でも実際そういうお客様たちを接客していくと、「あ、本当にこの人たちは二次元の理想の女の子たちに自分が受け入れられるっていう夢を捨てられないんだ」ってことがわかりました。

――現実に存在する人間女性の真の姿は拒絶したくなるんですかね。

 そうですね。そこで働いているうちに、「じゃあキャバに来ないようなオタクの男の子たちってどうなんだろうな」って疑問を抱いて、好奇心からあるアニメ系のオフ会に行ってみました。そうしたら実際、キャバクラに来ている人たちはオタクだけれどもお金があって、「キャバクラに行こう」って思える人たちなので、まだ意識が高かったなっていうのを思い知りました。私がクラッシュしていった「普通のオタクの男の子たち」は、もっと「女の子への理想と憧れ」が強烈だったので。

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