
Photo by Bare to share from Flickr
部屋が暗かったので、最初は気づかなかったんです。肌を合わせたとき「チクチクするなぁ」と感じてはいましたが、気に留めませんでした。ですが、インターバルを経ての第2ラウンド。冗談めかして、彼のボクサーブリーフをがっと脱がせたところ……なにこれ! アンダーヘアが中途半端に刈られていてるんですけど!? いつもは黒々しているところが肌色で、そこからポツポツと5mmほどの毛が顔を出しているのを前に、私は我が目を疑うことしかできませんでした。
どうしたの? と訊くと、自分でバリカンで刈ったといいます。この事実をどう受け入れればいいのか……。真っ先に頭に浮かんだのは、浮気でした。相手の女性の趣味に合わせて自ら陰毛をカットしたのではないかと。でも、「ねぇ、浮気?」と訊ねたところ、言下に否定されました。いったんは胸をなでおろしたものの、釈然としません。
次に思いついたのは、ケジラミです。ケジラミは薬を処方されても、結局はヤツらの住処となり栄養供給源となる毛そのものをなくすのがいちばん効果的だと聞きます。
ちなみに、私が大学時代におつき合いしていた男性は水泳部に所属していましたが、そこでは競泳用水着の貸し借りが日常茶飯事だったそうです。ある日、チームメイトから借りた水着で、ケジラミが伝染った! と聞かされました。そして、私が彼のヘアをすべて剃りました。「伝染してしまったかもしれないから」と、私も全部剃ってもらいました。これが私の人生初のパイパン状態です。まあ、ほんとうに水着の貸し借りによってもらったケジラミかどうかはわかりませんよね。ですが、当時の私はまだ幼かったというか単純だったというか、とにかくみじんも疑わなかったのです。
浮気ではないなら…?
そんなわけで私のなかでは、陰毛を剃る→ケジラミという連想がすぐに成り立ちます。しかしそれにしたって、背景には浮気があるのではないか……? 私がケジラミを持っていないということは、一体、彼のケジラミはどこから……? ストレートに疑問をぶつけたところ、「よくそんなこと思いつくなあ」と笑われました。それでも私が食い下がり、しつこく浮気かケジラミかの二択で問い詰めたところ、しまいには「馬鹿!」と怒られました。
彼の説明によると、単に「暑さのせいで蒸れがあまりにひどかったので、発作的にバリカンで刈った」ということでした。これを信じるかどうかは……うーん、私もいろいろ考えたのですが、信じる要素のほうが大きいと判断しました。
彼のデリケートゾーンをくまなくチェックしたのですが、毛が刈られているのは、女性でいうところの<Vライン>だけです。睾丸に生えるひよひよとした毛はそのまま、会陰から肛門にかけて、つまり<Iライン>から<Oライン>にかけてもワイルドなままでした。プレイとして刈るのであれば、全面的に処理するはず。しかもバリカンではなく、シェーバーを使いそうなものです。赤ちゃんのようにツルツルにしたほうが羞耻心を刺激されますもんね。チクチク生えているのは、別の意味での恥ずかしさにつながるでしょうが、美しくはありません。男性器が丸見えなのは美しいかどうかはさておくとしても、はなはだ中途半端で潔くありません。
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