バラエティー番組で自身が“ブスいじり”されることに不満を募らせ、現在はテレビ出演を控えているお笑いコンビ・アジアンの隅田美保(39)。ブスいじりによって婚期を逃し、婚活に励んでいるという彼女であったが、漫才ライブなどは相変わらず継続中だ。3日にも相方の馬場園梓(34)とともに埼玉・大宮で漫才を披露したというが、同日に馬場園がTwitterにて隅田の“名言”を紹介したことが波紋を広げている。
「隅田さんが声を大にして言い放った気持ちのいい名言をご紹介します。『芸人が見た目や顔をイジって笑いを取る事は別にええやん。ただ私はそっち側の人間と違うねん。それはそっち側担当の人がやればいい。私がそっち側に入れられてる事がずっと納得いかんねん。』」(※当該ツイートはすでに削除されている)
隅田がブスいじりを理由にテレビ出演を控えていたことが明らかになってから、「芸人ならいじられるのはオイシイと思わないと」「でも女だし傷つくよね」と様々な声が上がっていた。隅田の主張はかねてから一貫していて、「私はブスではないから、ブスいじりをしないでほしい」ということだ。この主張自体はおかしいことではない。誰がどんな基準で他人の美醜を判断しようと勝手だが、その個人的な判断を理由に「ブスいじり」することを「しないでくれ」と拒否しているわけである。
ただ、隅田が「そっち側の(ブスと自覚している)人間なら、顔をイジって笑いを取っても別にいい」と発言してしまうということは、彼女自身、芸能界の笑いの慣習を変えてテレビ復帰したいとはもはや考えていないのかもしれない。
テレビの世界には、様々な暗黙のルールがある。「ブス=いじってもOK」「独身女性=負け組」「ブスで既婚者=勝ち組」といったルールに則って、番組は進行されていく。隅田が自身のルックスをどう捉えていようが関係なく、その世界のルールに従うならば「ブスいじり」、さらに「独身負け組いじり」が容赦なく襲ってくるだろう。彼女がテレビ出演を控えるのは、ストレスから自らをの心身を守る賢明な判断といえる。
一面的な価値観しか持たないテレビ業界のこうしたお笑いルール自体が、前時代的で差別にまみれている。そして隅田ひとりが「イチ抜け」を明言し実行したところで、少しもこのルールが変わることはなく、今日も明日もテレビは収録され放送され続ける。誰がブスかどうかではなく、ブスいじりありきのお笑いが許容されている以上、変わることはないだろう。
(ルイコスタ松岡)