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無職が3年の空白期間を面接官に問われたら?

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全国219万人の無職の皆様、こんにちは! さて、というわけで今日から新章、働く無職編のスタートです。働く無職っていう言葉の矛盾、すごいですよね。ささやかな豪邸、とか、密かなブーム、みたいな。「安心してください、働いてませんから。とにかく明るい無職です」という持ちネタがこれから使えなくなってしまうんですね……使ったことないけど……あ! 使ったことない持ちネタ、働かない無職。

くだらないこと言ってないではやく働けよ、と読者の方々から言われ続けてはや5カ月がたとうとしています。ついに年貢の納めどきがやってきました。

というわけで、これまで寄せられたコメントを早速読んでいきましょう

・コンビニでも何でもして稼げや。朝から晩まで、週6や。
・20代で体が健康なんですよね。大丈夫過ぎて笑えます。
・バイトの面接で3年間何してましたか?なんて聞かれないですよ。週何日出られますか?とか残業大丈夫ですか?とかくらいで。正社員とかヒモにしてくれそうな彼女とか、まじめにやってきた人ですら手に入らないものを求めるのは贅沢じゃないですかね。奥山さんってすごいポジティブっていうか自分を過大評価してますよね。
・ただの甘ちゃん。反吐がでる。
・ていうか、今さらみんながキレだして笑ろた。
・奥山さんは環境をガラっと変えるようなことは絶対しないでしょ。ここに書かれてるやつの中から自分に都合のいいことをつまみ食いしてちょろっと1回やって終わり。
・奥山さんは無職ってところにアイデンティティーを感じてこの連載に縋ってるんだから、まともな仕事なんてやる訳がない
・22歳の無職ですが、健康ならなんでも出来ますよ。私は高校時代から病気で6年くらい無駄にしてます。バイトは経験しましたが親からはもう期待されていません。
・とりあえず派遣っぽい短期バイトはほとんど履歴書見ないので、家賃なしの家にいてとりあえず食べる程度のお金を稼ぐだけなら、それでもなんとかなるのではないかと思います。

とりあえずまとめると、

・短期の派遣バイトとかなら空白期間つっこまれないし働けば
・とりあえずすぐバイトしろ
・甘えるな、死ね、働け!
・どうせ働くつもりないんだろ、働け!

というところでしょうか……。というかもう誰も僕が働くなんて信じてない気がしますね。でも安心してください。働きますよ。

コメントの通り、確かに、僕自身が自意識過剰になっているだけで、僕の空白期間に誰も関心なんか抱かないのかもしれないですね。だとしたら、なんとかいけそうな気もします。

東京で就職したいな、という気持ちがあるんですけど、そうは言っても先立つものが何もありません。とりあえず地元でバイトして、就活資金を一通り貯めてから、就活をすることにしました。

無職→フリーター→会社員

というコースを、これからのとりあえずの目標とすることにしました。あれだけ働きたくないと言ってきた癖に、親にちょっと脅されただけで働いてしまうのかよ、もっとハードコアに引きこもれよ根性ねぇな、と思っている人も、もしかしたらいるのかもしれませんが……それもそれで僕らしいんじゃないでしょうか。

というわけで、まずはバイトを探す必要があるわけです。

まぁ実はあれからも、明日から仕事探そう、今日は寝て英気を養おう、などと言い訳をしては先延ばしにしてきたのですが、でもこれ以上は自分を誤魔化せない、というタイミングがとうとうある日にやってきました。

そう、原稿の締め切りが近づいてきたのです。働くと書いた手前、働いてる様子を書かなければならない。そのためにはまず面接を受けなければならないわけです。しかし……求人広告を見るだけで吐き気がこみあげてきます。とても働ける気がしない。怒られるんだろうな……とか、つらい想像ばかり頭に浮かんで、中々行動にうつれません。

しかし、結局は行動しない限り、何も解決しないのです。毎日何もしないでいても、働く予感だけですり減って全然気が楽ではありません。

と、ふとある求人が目につきました。それは、大阪にあるとあるゲーム会社の求人でした。

ゲーム会社のアルバイト

アルバイト……ゲームのテストプレイ、アシスタント業務

なんだこれ、楽しそうなバイトだな、と思い、これなら出来そうだと、応募してみることにしました。

震える手で電話番号を入力、コール音、しばらくして女性が電話に出ました。

「採用担当は今離席中でして、何時に戻るかわかりません。折り返すので電話番号教えていただけますか」

あ、そっスか、じゃあオネシャス……と言いかけて、僕の中にかすかに残っていた社会常識がストップをかけました。

「ではしばらくしてかけ直させていただきます」

と言って電話を切り、しかし困りました。

かけ直したくねぇー!

担当者が不在だった時点で既に僕の心はボッキリ折れています。無理でしょ、もう。縁がなかったんですよ……。そもそも最初に電話するのにもそうとう時間がかかったのに、あのツラさをまた経験しないといけないなんて……。働きたくない……。こわい……。

なんて言ってられません。締め切りが迫っています。ケータイを握りしめてしばらく時間が経った後、思い切って再度電話をかけ直しました。今度は無事に担当者が出て、早速、次の日に面接をしてもらえることになりました。

翌朝、起きた時点で、テンションは最悪でした。落ちよう、と思いました。働こうとしたポーズだけとって、落ちて、それを原稿のネタにして、それでいいじゃないか。

そうだ、変な格好で行こう……。

というわけで、写真のように中々に怪しい服装で出かけました(この変なスニーカー、マルジェラで3万以上するんですけど、通算5回くらいしか履いてません)。すっかり気分は変質者です。真昼の住宅街を歩く姿も堂に入っています。決して目を合わせてはいけません。

やっとの思いでその会社に到着、面接に現れたのは、管理職風の40代の痩せた男性でした。

早速、封筒から履歴書を出して手渡します。

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奥山村人

1987年生まれ。京都在住。口癖は「死にたい」で、よく人から言われる言葉は「いつ死ぬの?」。

@dame_murahito

http://d.hatena.ne.jp/murahito/