男性主導のパワーゲームに乗らない戦略
凄母だったらこうした様々な問題を力技で解決してしまうと思うのです。女性だから評価されないのであれば、誰も文句が言えないような成果を出せるような努力をして自分の能力を認めさせたりして。しかし、反対に著者はそうした力技には懐疑的です。
力技での解決って、女性がハンデを負いながら男社会で働くことに他ならないわけですよ。そもそも、力技を繰り出さずを得ない場面に出会えばおのずと旧来的な「そうまで苦労して、女性が働く意味ってあるの?」という疑問に直面します。男性主導のパワーゲームに乗れる女性は良いかもしれない。しかし、そうでない女性にとっては、力技を駆使して働くことに、どこまでも消極的な意味しか見出せません。
それに、女性の身体は、男性のものよりも難しくできている。ストレスや仕事の無理をすると、ホルモンのバランスが崩れて苦しい思いをする。無理をすればするほど、仕事をする意味はまた消極的になっていきます。
女性が無理をしない仕事のやり方
そこで著者は「男性がもっていない女性ならではの能力を駆使して働いてかないと、女性の仕事はホントの意味で幸せなものにならないのでは?」と提唱している。「女性らしさを仕事で活かす」とまとめてしまうと途端に陳腐に聞こえますし、「女らしさ」だなんて、それこそ保守的だ、と批判されそうではあります。けれども、凄母ばかりが華々しく取り上げられている状況では、こういう提案が新鮮だし、現実的なものとして思えてくるのです。
もちろん「女はお茶汲みやコピー取りだけやってれば良い!」みたいな話をしているわけではありません。男は◯◯みたいな仕事をしがち、でもそれって会社のためにならないことが多いから、女性が××してバランスを取ったらいいんじゃない、的な提案が本書のなかではいくつもなされています。
これらは男性読者には反省の材料になるはずですし、男女の枠を取り外すと「仕事・会社をうまく動かすためのナレッジ集」としても読めます。タイトルはいかにも女性向けの本なんだけれども、むしろ、男性が読んだ方がいい本とさえ思います。「こんな風に働いている女性がいるんだ!」ってなかなか男性の側からは気づかないものですから。
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