今年4月期に放送された『ようこそ、わが家へ』(相葉雅紀主演/フジテレビ系)は平均12.5%とイマイチだったが、最終回では15.0%を記録。前クールでオンエアされた『花咲舞が黙ってない』第2シリーズは平均14.5%で、前作より落としたが、それでも高い視聴率をマークした。
同じく前クールの『民王』(遠藤憲一&菅田将暉主演/テレビ朝日系)は、深夜枠で池井戸作品では珍しいコメディとあって、平均7.1%しか獲れなかったが、『下町ロケット』の好発進で、そのブランド力に揺るぎないことを示した。
さすがに、『半沢直樹』ほどの視聴率は望めないだろうが、視聴者の池井戸作品への信頼度もあり、『下町ロケット』も、それなりの数字は弾き出しそうだ。NHKの朝ドラ『まれ』で主演を務めたばかりの土屋太鳳が、ヒロイン役に起用され、父(阿部)に反抗する女子高生の娘役を演じている点も見逃せない。
確実に高視聴率を稼いでくれることから、今後も各局により、池井戸作品の争奪戦が繰り広げられることになりそうだ。しかし、原作頼み&役者頼みでろくな演出もしなければ、たとえ池井戸作品だとしても視聴者にその怠慢は見破られる。鉄板原作に頼り切らず、テレビ局が「オリジナルで池井戸原作を超える」くらいの気概を持たなければ、一桁視聴率当たり前のドラマ氷河期を暖めることは出来ないだろう。
(文=黒田五郎)
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