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どうして私がこんな目に!? 非婚ママと夫獄中ママが味わった強烈な産後孤独

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嫌な思いをしないと制度が使えない

 上原が出産に立ち会ったサラの場合、退院した後が1番辛かったそうです。というのも、サラは出産時、まだ入籍していませんでした。出産には彼氏も立ち会っていましたが、この時はまだ、サラが彼氏と結婚できるのか、誰も分からなかったのです。サラの彼氏は在日米兵でした。

 結論から言うと、サラは当時の彼氏と結婚して、幸せそうにしています。上原とは今でも3時間くらい長電話したり、子どもが学校に行っている間に遊んだりしています。要するに、サラは余裕がある家庭を築けました。でも結婚するまでは本当に辛かったと思います。

 出産後、サラと彼氏は日本でもアメリカでも婚姻関係がない時期が長く続きました。その上、サラの彼氏は長期出張で国外に行ったりするし、これから一緒に生活できるのかも分からない。サラは実家から出ないといけない状況だったので、引っ越しなどの出費が重なり、貯金は大幅に減ってしまい生活が不安定に陥ってしまう。そんな何重にも大変な状況でした。

 退院後すぐにサラは児童扶養手当の申請をしていたのですが、サラに担当民生委員の対応を聞いたところ、想像を絶する酷いものでした(苦笑)。サラの家が分かりにくい場所だったのもあるとは思いますが、生後2週間の赤ちゃんがいるのを知っているはずなのに、待ち合わせ場所は、家からちょっと離れた場所に指定されていました。「しかも、大雨の中20分待たされたんだけど、申請のときって、これが普通なの?」と、サラから電話があり、思わず「え? そんなことあるの?」と聞き返してしまったほどです。

 その後サラは役所にクレームの電話を入れたのですが、この民生委員さん……またやらかしてくれました。サラの家の玄関先で土下座して、「すみません! すみません! ……これで満足ですか!?」と。馬鹿にしています。

 サラが入籍した後、当時の話題になったとき、「あの時は、本当に辛かった。社会に頼るって、あんなに嫌な思いしなきゃいけないんだね。八方塞がりだから制度利用するのに、あの仕打ちは酷いよ」と、泣きながら話してくれました。

誰だって孤立するかもしれない

 上原とサラの共通点は、出産前から不安定な状況にあったことだと言えます。時間差はあるけど、お互い違うタイミングで激しい“孤独感”を味わうはめになってしまいました。

 でもサラは結婚で、上原は学校に通うことで、“孤独”から脱け出せた。孤独が、虐待や心中などに繋がることはありませんでした。何かきっかけを掴むための強い意志、もしかしたらそれ以上に運が無いと、孤独から抜け出すことは難しかったと思います。そして、きっかけを掴むために必要なモノを維持したり、そういう機会を作ったりするのって、支えになる人の存在があって出来るんだと痛感しています。だからこそ、孤独は怖い。だって近くに支えてくれる人がいなければ、外の誰かと繋がる機会すらなかなか手に入れることができないわけですから。

 非婚だろうが、離別だろうが、そんなもの関係なく孤立しちゃう可能性は誰にだってあります。辛い時ほど理不尽な目に合いやすく、負の感情に蝕まれて先が見えなくなってしまうものです。上原がこの連載を書いている理由のひとつは、自分の経験を通して伝えることが、誰かの孤独を埋めることができるかもしれないと思っているからです。身近な人の話に耳を傾けるのもそう。きっと、辛い時に側にいる誰かの存在があるだけで、ギリギリのところで踏ん張れるはず。だから、心無い言葉を投げつけるのではなく、ちょっとだけ優しくしてくれる人が増えたら良いな、と思っています。

 最後に。私事になりますが、サラの娘ちゃん! お誕生日おめでとう♡

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上原由佳子

1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

@yu756ka