目の前の男への対応は自分で考えるしかない
ぐっどうぃる博士による「相手に応じてアプローチを変えろアドバイス」は一見、相手にニーズによって、ニード・シェアリングの切り口を変える営業のプロセスと似ています。
しかし、優秀な営業マンがニード・シェアリングの最中に、相手を見ながら切り口を変えられるのと違って、「5つのタイプに分類して、アプローチを変える」のは「相手はこれをやったら喜ぶハズだ」と思い込みありきでおこなわれているに過ぎません。こうした恋愛戦術は、目の前にいる人間を真に見ておらず、固定観念や思い込みを相手に、アプローチをおこなっているようなものなのです。これでは「わたしはあなたと付き合いたい」というニードを共有しようとしていても、「あなたはこんなニードを持ってるんでしょ!」とグイグイこちらの気持ちを押し付けるだけになってしまいます。
もうひとつ、こうした恋愛指南には、そもそも「人をキレイにタイプ分けできるか?」という問題があります。「ガツガツしないほうが女性にモテると思っているが、劣等感が強い人」もいるでしょうし「趣味が忙しくて女性を相手にする時間がとれないが、女性は大好きな人」もいるでしょう。ぐっどうぃる博士の5タイプにあてはまらない人はいくらでも想像することができます。また、オタクに対して「趣味を語らせろ(そうすると相手は、自分に理解があると思って行為をもってくれる)」というアプローチも有効そうに見えて、オタクのなかには自分の趣味を話すのが面倒なので話したくないという人や、趣味について質問されること自体嫌がる人もいますから、どんなオタクにも有効なわけではありません。
もし意中の男性に選ばれないことにお悩みの方がいらっしゃいましたら、「自分はちゃんと目の前の人間」を相手にしているかを問いなおしたほうが良いかもしれません。ひょっとすると相手は、自分が考えている「相手が欲しがっていること」とはまったく違うことを望んでいるかもしれません。気持ちが伝わらない、情熱をわかってもらえない、と嘆くばかりでは、熱さだけは人一倍あるが成績が伸びない営業マンと同じで、まったく反省ができません。貴女は「アイツ、一生懸命だけどうっとうしいよな」で処理されてしまう、ひとりよがりな恋愛をしていないでしょうか?
■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。