連載

「まんこ」の3文字を使わずに、女性器のゆるふわ表現に挑む

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笑いのカースト最下層のまんこ

 伝統芸能のお笑いである落語とまんこを結びつけ、まん小噺(こばなし)を作ろう! 勇んで落語教室の門を叩くも、

「絶対潰されるよ!」

 と、落語家の師匠K氏にダメ出しされたわたし。

 師匠によれば、下ネタは、かんたんに笑いがとれるから「笑いヒエラルキーの最下層カースト」。

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「落語には艶話(つやばなし・ワイ談をテーマにしたもの)もあるけど、そういうのは御ひいきの方に特別に話すぐらい。大体、まんこって直接言うのは言葉の美学がない。『美人』と言うのと、『小股のきれあがったいい女』と言うのとじゃ、全然違う。落語は想像力をかきたてる言葉の魔術なの」

 小股がきれあがったらコワイしTバックが食い込んで痛そうな絵づらが浮かぶけど、確かに、なんだか後者にすごみを感じます。単なる「ブサメン」より「アンガールズの田中を2~3発ぶんなぐって塩水に漬けて1週間天日干しした感じの男」の方が壮絶なブサイクをイメージできます。想像力をかきたてる言葉の魔術……。

「あ、そうそう、あなた、壇蜜に学びなさいよ」

 え!?

壇蜜に学べ!

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 師匠いわく、「壇蜜なら『まんこ』とは言わずに男の想像力をくすぐるうまい言い方で表現するはず」なんだそう。

 確かに、壇蜜の勢いはすごいです。グラビアや映画で陰毛や乳首を晒しながらも、地上波のテレビにばんばん出てるし、男に媚びてる系なのに同じ女からも嫌われない、不思議な魅力を感じます。男社会でも嫌われずにやっていける処世術を心得ている、賢さ、たくましさも感じます。

 対してわたしは、「まんこ」と言ってはおじさんに怒られ、「まんこはダメです」とテレビに蹴られ、ツイッタ―ではめんどくさい人にからまれケンカばかり。男を、世間を、敵にまわしまくり。まんこのまん権どころか、彼氏すらできないのも当然です。

 離婚したのも、わたしのあけすけな物言いが原因。このままでは一生独り、孤独死必至。落語教室に来ているのに、将来への絶望を感じてどんどんへこんでゆきます……。

 落ち込むわたしに師匠も情けを感じたのか、

「その3文字を使わないでまんこをふんわりやさしく表現する小噺をつくりましょう。それなら協力しますよ」

 とおっしゃってくださいました。

まんこの3文字を使わないまん小噺

 やったー。「まんこ」を使わないのは腑に落ちないけど、プロ監修のまん小噺は、これでとりあえず出来そうです!それに、その方が怒られずに男受けもいいなら気楽……とだんだん日和ってきたわたし。

 わたしだって嫌われるよりは人気者になりたい。彼氏もほしい。孤独死したくない。そうだよね、「まんこ」、無理に使わなくていいかも。ゆるふわ、いいかも……。

「あと、ビラビラもやめた方がいいよ」

 ……わたしが好んで使ってきたビラビラも、ダメですか!?

「ビラビラなんて、エグイでしょ。男は引くから! そうだねぇ、『ピンクのフリル』って言ったらどう?フレアースカートみたいでかわいいでしょ、うん、そうしなよ!」

 ぴ、ピンクのフリル……。

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 なんかちょっと背筋がぞわっとしましたが、ゆるふわに、男受けに、日和りだしたわたしは素直に従うことに。

「それで1本お話をつくってきなさい。次週、添削してさしあげます」

 という師匠の厚意に答えるべく、その夜、「まん小噺」ラフを執筆しようと、おそるおそるペンをとるわたしでした。

(つづく)

■ろくでなし子 /漫画家。日本性器のアート協会会員。自らの女性器を型どりデコレーションした立体作品「デコまん」造形作家。著書に『デコまん』(ぶんか社刊)。『女子校あるある』(彩図社刊) 
ろくでなし子ホームページ http://6d745.com/
日本性器のアート協会ホームページhttp://www.jsoa.jp/

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ろくでなし子

漫画家。日本性器のアート協会会員。自らの女性器を型どりデコレーションした立体作品「デコまん」造形作家。著書に『デコまん』(ぶんか社刊)。『女子校あるある』(彩図社刊)

ろくでなし子ホームページ