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脱・におうまんこ♡ 時代は『香らせまんこ』です!

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アメリカのAmazonを見ると、「まんこの匂い人気ランキング」が分かります。

 アメリカのAmazonでは、日本のAmazonと違い、「まんこ消臭スプレー人気ランキング」を見ることができます。この原稿を書いている11月17日現在、人気のフレーバーは以下の通りです。

1位 フローラル(ラベンダー系)
2位 微香料・強力消臭
3位 トロピカル
4位 ベビーパウダー
5位 アイランドスプラッシュ

 ところで、日本のAmazonで売っている、ダッチワイフに匂いを付ける用スプレーのフレーバーラインナップはこんな感じになっています。

・汗の匂い
・生理の匂い
・おしっこの匂い
・女子校生のセーラー服の匂い

 なんでしょうか。このギャップはいったいなんなんでしょうか。生きている自分のまんこがフローラルでフルーティな香りであってほしい人々と、生きてないダッチワイフのまんこがリアリティあふれる匂いであってほしい人々。

いや、ダッチワイフにスプレーされる汗の匂いというのも、いわば性的幻想の中で期待される「女の子の汗の匂い」なわけですから、それがリアルかどうかというとまた議論の分かれるところでしょうが……それにしてもなんていうかこの期待の差、マリアナ海溝級の深い溝を感じる状況です。

 なぜ人は、自分のまんこに「香り」を求め、他人のまんこに「ニオイ」を求めてしまうのか。もちろん例外もあるでしょうが、この期待の差はたぶん、ここから生まれるものだと思うんですよね。

「香らせてる」んじゃない、「匂っちゃってる」ものであってほしい、と。

 自分のまんこにフローラルやらトロピカルやらのスプレーを吹き付ける行為は、ある種、「私のまんこは私が香らせる!」的行為ともうつるわけです。「自分のまんこは自分のもの」意識があってこそできることなわけです。それに、「これは誰かに嗅がれることがありえるパーツだ」ってことで、他者を意識して準備してる感も出てきますよね。

 そうやって、まんこの持ち主がまんこ管理の主導権を握っていることに、まんこを性的対象として征服したい人々っていうのは萎えてしまうのではないかしら。

「しっかり洗ってきたはずなのに、濡れてきちゃってえっちな匂い……」
「先にシャワーを浴びたいのに、もう我慢できなくって……」

 ……っていうことで、フローラルにもトロピカルにもする余裕がない、「持ち主のコントロール範囲外に行ってしまったまんこを自分が好き放題してしまいたい」っていう欲望が、まんこ消臭スプレーとダッチワイフ匂い付けスプレーのフレーバーの差として現れているんじゃないかしらね。

 とはいえ。自分の手を洗うのは自分、自分の歯を磨くのは自分、自分のまんこを洗うのだって自分なわけです。messyでも「セルフまんまんごしごし恥ずかしい問題」が提起されていますが、まんこの衛生を保つため、「匂っちゃってる」が「臭っちゃってる」に陥らないため、フランスのWEBメディアで提唱されているまんこの匂いコントロール法を最後に見ていきましょう。

フランスの「まんこの匂いコントロール法」とは?

 まず基本として、「まんこには自分で自分をキレイにする働きがあるよ」「それでも臭う場合は、感染症がないか病院でチェックするのが先だよ」ということが言われています(2)。

 それを踏まえた上で、例として挙げられているのは……

・タンポンにヨーグルトを浸し、膣に挿入して1~2時間置いた後に洗い流す。
・お茶の木の精油をたらした水で、おしぼりを作り、外陰部を拭く。
・クロロフィル(葉緑素)のサプリを摂る。
・重曹を入れたお湯につかる。

 などなどといったことです(3)。信憑性や安全性は不明ですから、お試しになる際にはよくご注意いただきたいですが、それにしても、ヨーグルトにつっこんだタンポンをあそこに入れるパリジェンヌ、涙ぐましいですね……。

 ちなみにアメリカでは、パイナップルやバナナを原料とした、「精子の苦みや塩味を軽減させ飲みやすい味にするサプリメント」が特許を取っていました(https://www.google.com/patents/US6485773)。でもこの発明、まんこの匂い改善は想定していないみたいです。日本でも「体臭がバラの匂いになるお菓子」が市販されていますけど、あれはまんこには効くんでしょうかね。

匂ってほしくない人がいる。匂っちゃってほしい人もいる。そんな期待の差を前にしてなお、今日も誰かがヨーグルトタンポンを突っ込んでいるのかもしれません。よかったらあなたが思うまんこの匂いについてのご意見も、コメント欄で教えてくださいね!

参考文献
(1)日本語版は岸本佐知子による翻訳で、白水社より「ヴァギナ・モノローグ」として刊行。本稿はHachette UKによる英語版に基づいています。
(2) フランス語圏のアフリカ系女性のためのWEBメディア、「AfriqueFemme」による。http://www.afriquefemme.com/95-sante/bien-etre/430-comment-se-debarrasser-de-l-odeur-vaginale
(3)フランスの美容・健康情報サイト、「Code of Happiness」による。http://code-of-happiness.org/fr/10-remedes-maison-simples-contre-les-odeurs-vaginales

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牧村朝子

1987年生まれ。タレント、文筆家。2013年にフランス人女性と同性婚、現在フランス在住。セクシャリティをテーマに、各種メディアで執筆・出演を行う。将来の夢は「幸せそうな女の子カップルに”レズビアンって何?”って言われること」。

twitter:@makimuuuuuu

ブログ:http://yurikure.girlfriend.jp/yrkr/