A CLOCKWORK ORANGE
こんな、こんな原稿の何が面白いっていうんだ!? 僕自身書いてて吐き気がするくらい退屈でしたよ!
公園のおじいさん、老人になっても会社の名前に縛られてんのか? 男ってアホだな。ガキは僕にケータイの通話代金を支払ってください。それから、僕は休日に立ち飲み屋で飲んでるような人種が嫌いなんですよ! 反吐が出そうだ! お前らみんな、ドストエフスキーの百万分の一の価値しかないんだからな!(スリッパを床に叩きつけながら)
いやいやいやいや……なんて言ってたらまた元の木阿弥です。友達が欲しいと相談して、結局のところ「友達なんかいらない」と言い出したり、なんだかんだと。僕はそうやってこれまで、読者のアドバイスを無下にし続けてきました。でもそろそろアドバイスを参考に経験したことを踏まえて、どうすればいいのかを考えなくちゃいけない。そうじゃなきゃ連載してる意味がありません。
どうやら僕は小さな幸せを大事に出来ないようです。それはわかり過ぎるくらいにわかりました。もう諦めます。でも人を見下さない、身近な人を尊敬する、これは出来るはずです。
でもちょっと待ってください。よく考えたら、そもそもみんな僕のこと見下してるじゃないですか! 見下したり、見下されたりするのがむしろ自然なんじゃないですか?
……というか、そもそも僕はなんで人を見下してしまうんでしょうか。一体いつからなのか……さかのぼってみると、どうやら物心ついたときから僕は人を見下していたようです。とはいえ、こんな僕だって身の回りの人を尊敬したことが全くないわけではありません。ただ、徐々に幻滅するようになり……ああ、そうか。
僕は幻滅するのが怖いから身近な人を尊敬出来ないんです。
だったら、期待値を思いっきり下げればいい。
なんだ。しかし、こんな簡単なことだったのです。
過大な期待をしてしまうから、がっかりするだけ。
三日前にこの悟りに至り、それから僕は生きてる人全てを凄いと思うようになりました。今までより少しだけ、人に優しくなれているような気がします。穏やかな気持ちで人に接することが出来ています。
人は生きてる限り過ちを犯し、間違えてしまう生き物です。でもそれは僕も同じ。互いに許し、思いやることが大事なのではないでしょうか。
と、そんなどこかで聞いたような理屈で、自分をセルフ洗脳することにしました。
そうして日々は穏やかに過ぎていきます。近頃は僕も毎日ニコニコしています。両親とも笑顔で会話し、飼い犬のエヴァに手を噛まれても、笑っています。
怒りに似た感情が湧き上がりそうになるたび、自分に、何度も諭すように言い聞かせます。
こんなもんさ、なにごとも。
大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫。僕は正常です。
僕の心は穏やかです。もう死にたくはありません。
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