あたしゃねぇ、こうしていま生意気にも原稿なんぞ書かせていただいてるわけなんですけど、実は、朝起きるのすら難儀する毎日です。ほうじ茶を片手にねぇ、文机の前に正座して愛用の万年筆を原稿用紙にすらすらすら~っと滑らせてひとマスひとマス埋めるという作業よりも、お布団から起き上がるという作業のほうが現在、ハードルが高い。
うつだと、脳から体への神経伝達が上手くいかないらしいんですね。セロトニンという伝達物質が、うまく脳からの信号を体に伝えてくれないんですって。だからうつの人は動けない。
加えて私は一時期、座ってるだけでも腰が痛くてたまらず、お原稿書くどころじゃありませんでした。
だったらお布団から起き上がらずにお原稿を書けばいいじゃないか、と思いますよね? 私もそう考えて、実践したことあるんです。お布団かぶったまんま、原稿用紙を枕の上に広げて書いてみました。けどこれをやっていたら、ウチのスタープレーヤー「サルコペニア(筋力・身体能力の低下)」が一層張り切りだして腰痛が悪化。悪循環なのでやめました。
サルコペニアさんについてはまた後で詳しく書きます。なぜならこの稿は! そう、「うつ」についてがテーマだからです!
「うつ」から目を逸らしていた
私が最初にうつの治療を受け始めたのは、いまから約10年前、30代の始めごろでした。そのころに私は家族の問題が原因で、夜眠れなくなり、ごはんも食べることができなくなっていました。なんとなーく、なんとなくですが、これがいわゆる「うつ病」かも? と思わなくもなかったんですが、怖かったので目を逸らしつづけました。
夜眠れなくても方向違いのポジティブシンキングを発揮し、「これは夜眠れないんじゃない……ものすごい早起きなだけなんだ……」と自分に言い聞かせました。さすがにごはんが食べれず体重が15㎏ほど急速に落ちて生理が止まったときは「これは不健康すぎるのでは……?」と怯えましたが、「不都合なことは見ないようにする」という虐待家庭育ちの特性をぞんぶんに発揮し、不安を押し殺しました。
「死にたい、そして消えてしまいたい!」という希死念慮もそのころからあり、ふと気づくと飛び降りるための、手ごろな高さのビルをきょろきょろ探す自分がいました。手ごろな高さのビルって、案外ないものなんです。特に田舎では。しかしそれだけでは、病院に行くには至りませんでした。
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