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厚労省さんは「貧乏人は栄養バランスを考えろ」って言うけど、私、お水が主食でしたよ?

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明日のことも考えられない日々

 お察しの通り、ライフラインが全滅する直前から“栄養バランス”と“健康”について考える余裕なんてありませんでした。それよりも「あの千円……」とか、「何を食べよう……というか何なら買えるんだろう」とか、「(元)夫は何処に行ったんだろう」とかばかり考えていました。

 その後、ライフライン停止とともに上原の思考も停止しました。当時のことはよく覚えていません。

 ところで、たまに出てくる元夫は、ライフラインが全滅するちょっと前から、家にほとんど帰ってこなくなりました。あのときは上原も生きるのに必死で、(元)夫が何をしているのか聞く余裕もありませんでした。

 離婚前、少しだけ落ち着いた頃、(元)夫「あのとき家に戻らないで何をしていたの?」と、聞きました。「始めのうちは実家にいたけど、だんだん実家に居づらくなって公園にいた」そうです。そして、公園では、「実家から味塩持って出たから味塩舐めて公園の水を飲んでた」らしいです。

 そうか……、家に戻ると上原が「お金ない!」って発狂するからね、ごめんね。

 そんな優しいこと思うわけないじゃないですか!!! なんだそれ! 上原を放置して何してんだ!!!!

 元夫へのイライラを抑えて冷静に考えると、私と元夫の共通点が見えてきます。二人とも時間軸が短いんです。「今日どうしよう」としか考えていません。明日のことなんて考えられない。

 短絡的で、向こう見ずで、何も考えていないように見るかもしれません。賢い買い物をして、少しでも余裕を作って、ちょっとでも貯金すればいい。そういうことをしないから貧困になるんだ。そんなことをお考えの方もいるかもしれません。でもそんなこと考えられなかったんです。困窮すると、そういう思考しかできなくなるんです。前述した上原のケースをまとめると、お金がないから保健税が払えない。保健税を払わないと病院に行けないから、どうにかして払う。すると食費が減ってしまい“栄養バランス”なんて考えられない。その結果、体調崩しやすくなるけど病院代と食費の二択で、どちらかを我慢しなきゃいけない。どちらかを優先して、さらに健康状態が悪くなる。誰かに相談するなんて発想もできなくなる。そして……。

 金銭的な余裕がなくなると“今日を生きる事”が最優先になってしまいます。生活を立て直すためには、たくさんの人から色んなことを言われないといけません。ただでさえ精神的に追いつめられているのに、強い口調で責められたらなにも言い返せません。今回の厚労省のように、国が自己責任論を助長するようなコメントしてしまえば、「まともなご飯が食べたい」「病院に行きたい」と言うのすら許されなくなっていくのではないでしょうか。

 ガチ困窮していたころ、まともなご飯にありつけなかった上原ですが、今は白菜の値段で一喜一憂できるくらいの余裕はあります!! それに、最近はアラサー独身男子の担当編集者からいろいろなレシピを教わって、娘ちゃんと一緒に作るようにしています(笑)。いちおう、自分の名誉のために言っておきますが……。なーべーらー汁とか、イナムドゥチは昔から作れますよ?

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上原由佳子

1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

@yu756ka