短期集中連載・叶姉妹を読む!03
前回まで、叶姉妹の「姉」恭子さんについて、著書から読み解いてきたが、今回は「妹」美香さんの実像を考察してみたい。彼女は2006年に講談社から『おっぱいにつまっているもの 気くばり目くばり思いやり』という著書を出している。
かねてより、一般常識とかけ離れた価値観を持つ姉の「世話係」として、美香さんは実に有能だと語られてきた。この本からはその有能ぶりが実によくわかる。彼女が一人称で「他人とのコミュニケーション」や「恋愛」などについてのスタンスを語っていく形式だが、どこをどう切り取っても正論。清廉潔白。美しいにもほどがある。そして合間に挟まれる、ロンブー田村淳や平尾昌晃のインタビューも、美香さんの気配りの素晴らしさや仕事に対する実直な姿勢を賞賛するものばかり。まるで聖母である。
朝寝て、朝起きる
叶姉妹はタレント事務所に属しておらず、芸能活動をする際のマネジメントは美香さんが請け負っているという。つまり、バラエティ番組のスタジオ収録も、トークイベント出席も、交渉とスケジュール管理はすべて美香さんが行っているということだ。海外で過ごすバカンスも、ホテルや飛行機の手配から荷物のパッキングまで、美香さんがこなす。日常の食事はほとんど外食だが、飲食店の予約もやはり美香さん担当。さらに家計の管理も美香さんの役目だ。叶姉妹といえば湯水のように金を使っているイメージだが、美香さんはコンビニの数百円の買い物のレシートやハイブランドショップの何百万円の領収書まできっちり集めておき、収支状況をきちんと把握しているという。確定申告が大変そうだ。
のみならず、彼女は「情報収集」も怠らない。彼女の部屋には6台のテレビがある。叶姉妹の浮世離れしたキャラクターからは、日本のテレビ番組なんてほとんど見ていないだろうとイメージされるが、美香さんは勉強家だ。すべての放送局をチェックするため、自室にいるときは同時に6台すべてをつけて比較視聴している。さらに新聞も4大紙と英字新聞を毎朝読む「自称・情報収集オタク」の美香さんだが、「ネットだけはダメ」なのだそうだ。ケータイメールも苦手で、メールをもらっても電話でコールバックするのだという。
しかし世の中には時間という概念があり、一日は24時間しかない。恭子お姉さまに仕える美香さんが、「マネジャー」「主婦」「情報収集家」の三役をこなし、かつタレント活動も行うには時間が足りないのではないだろうか、と思う。だから美香さんは、睡眠時間を削っている。一日に3~4時間しか寝ないショートスリーパーで、しかも朝寝て、朝起きるのである。
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