インタビュー

ハタチで痴漢風俗にハマった男「お金がないのに、通うのを辞められないんです」

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名前のない男たち

連載:名前のない男たち/鈴木えみ

風俗で働く女の数以上に、風俗でヌく男たちがいる。
人前でハメるAV女優の数以上に、人知れずヌく男たちがいる。
そんな名前のない男たちの、地味めなインタビュー。

きっかけは大学の帰り道

ダイ(23歳)
某有名国公立大4年生、文系学部。ストレートで入学するも、去年1留が決まった。関東の実家住まい。コールセンターのバイト代で稼ぐ、月約8万のお金で学生生活をやりくりしている。女友達はたくさんいるが、彼女になった関係はこれまでに1度もなし。

「僕、風俗通いを辞めたいんですよね」

とある勉強会で仲良くなったダイ。某国家試験資格の取得を目指す、いたってマジメな青年だ。いつもニコニコして、天真爛漫な笑顔が印象的だ。ところが師走の上野で、ずいぶんと暗い顔をしたダイとばったり出くわした私は、彼をお茶に誘った。「ウーロン茶でいいです」、と言うと、ダイはぽつりぽつり、今の悩みについて話しだした。

――どうして風俗通いを辞めたいの?

ダイ「お金がないのに、通うのを辞められないんです。週1回、多いと2回行っちゃうんです」

―どんな風俗に行くの?

ダイ「ピンサロ※1とセクキャバ※2、あとはたまにデリヘル※3です」
※1 ピンクサロンの略。手コキ、フェラなど対面接客でヌキ(=射精へ導くサービス)を行う店。
※2 セクシーキャバクラの略。女のコへのHなおさわりを売りにしたキャバクラ。ヌキはない店が多い。
※3 デリバリーヘルスの略。ホテルまたは個人宅まで女のコが出向いて、本番(=セックス)行為以外でヌキを行う。

――今、23歳だっけ。何がきっかけで風俗に行くようになったの?

ダイ「大学1年生の時、体育会系の部活をやってたんですよ。その帰り道に、チャイナエステの看板を見つけて。なんとなく、Hなこともするのかな、っていう下心を持ちつつも、普通のマッサージを受けるつもりで入ったんですね」

――じゃあソコでHなマッサージに出会ったんだ。

ダイ「そう。全身をほぐす普通のマッサージを30分くらいしたところで、やっぱり下半身のほうに手がどんどんと来て。そこで『エンチョウ(延長)スル?』って聞かれて。『はい』、って即答。チャイエスでヌイてもらったのが1番はじめの風俗体験でしたね」

――気持ちよかった?

ダイ「はい。40歳くらいの、見た目は普通のおばさんがヌイてくれたんですけど。それが初めて人に触ってもらってイった経験でした」

――その時、彼女はいなかったの?

ダイ「彼女じゃないけど、いちゃいちゃする女の子はいたんですよ。その子と3回くらいセックスに挑戦したけど、僕は緊張のあまり、うまく挿入できなかったんです。それでその子とも何となく疎遠になって。僕、彼女という存在がいたことは1度もないんですよね」

――ダイに彼女がずっといないのは意外だなぁ。なんでだろ?

ダイ「う~ん、告白したことは何回かあるんですけど、仲のいい男友達としてしか見てもらえないんですよね……。あと、好きになる子は大体彼氏がいるし」

――なるほど。じゃあ、風俗は18歳からハマっていった?

ダイ「そうですね。大学の2つ隣の駅に、ピンサロがいくつか入ったビルがあるんですよ。おととしの年末だったかな、精神的な余裕もお金もない時で。でも怖いもの見たさというか、『やってみたことがないことをしたい』っていう気持ちで、ピンサロに行ってみたんですよね。朝なら、フリー※4で4000円だったし。意外と安いなって」
※4 女性を指名しないで入ること

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鈴木えみ

元デリヘル嬢(副業型、関東近郊の中級店)。写真はデリヘル勤務当時の“パネル”として使用していたもの。フリーター、時々ライター。

twitter:@emi_sws