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少し前までだと職場で男性の上司が女性の部下の臀部を触るなどの行為は日常的に行われていたようですが、「セクハラ」という言葉が浸透したおかげか、そういった行為はあまり見受けられなくなったように思えます。
しかし、お酒の席となるとまだまだセクハラは多いのではないかと思います。昨年、長崎県対馬市の73歳の女性市議が飲み会の最中にセクハラをされたとして、66歳の男性市議を告訴しました。このニュースに対する世間の反応が様々ある中で、被害者が高齢であることを揶揄する意見も目立ちますが、セクハラに年齢は関係ありません。セクハラに対する、世間の意識事態はまだまだ低いようです。
証券会社に勤める私の友人(社会人1年目、女性)は職場の飲み会で男性の上司からお酒を大量に飲まされ、意識を失っている間に服を半分脱がされたことがあるといいます。その他の友人でも、酔った男性からしつこくボディタッチをされたことがあるという人は多くいますし、私自身も、ベロベロに酔っ払った男性に脚を触られたりトイレについて来られたりした経験があります。
セクハラ、コールによる大量の飲酒の強要、粗暴な言葉の使用……日常的な場面では絶対してはいけないとされることが、お酒の席になると「仕方ないよね」という空気に変わります。これらの悪質な点は、「酔っていたから仕方ない」という言い訳が通ってしまうこと、また、後日になって「覚えていない」とまるで何もなかったことのようにできてしまうことです。訴えられた対馬の男性市議も「酒によって記憶があいまい」と言っていたようですが、いい大人が自分のした行動を把握できていないなんて、許されることなのでしょうか?
相手が泥酔するほどの飲酒を強要することは立派なハラスメントですし、自分をコントロールできなくなってしまうくらい酔ってしまうのも大人としていかがなものかと思います。記憶がないからといって、そのときの行動の責任までなくなるわけではありませんから、「酔っていたから」という言い訳はまかり通りません。
セクハラ問題の難しい部分は、加害者、被害者の関係や被害者の受け止め方によってその行動が「セクハラ」なのか「親しさゆえの行動」なのか変わってしまう部分にあると思います。以前、messyが行った調査でも「セクハラを受けていると『性の対象としてみられる=評価されてる? ちやほやされてる?』と勘違いしてしまう」といった意見が出たり、「福山雅治にならセクハラされてもOKですか?」というアンケートに対して約4割の女性が「OK」と回答したりしていました。気になっていたり憧れていたりした人からボディタッチされ、嬉しい気持ちになったことがある人も多いのではないでしょうか(私も、ベロベロに酔っ払った憧れの上司に手を繋がれて、テンションが上がった経験があります)。
ではイケメンやモテる人だったらセクハラしても良いのか、というとそれは違いますよね。男性が自分のことをイケメンと思っていても周囲からはそう思われていないというパターンも大いにありえます。イケメンだろうがそうじゃなかろうが、気持ち悪い行動は単純に気持ち悪い。
セクハラされる側としても、好きな人や憧れていた人からボディタッチされ不快ではなかったとしても、「ただ単に酔っているだけなのか、下心によるものなのか、あるいは自分に恋愛感情があるのか」とあとで悩まされることになります。いずれにしろお酒が入っているときのボディタッチにはいいことがない気がします。
セクハラそのものも許されることではありませんが、セクハラをしてしまった後の加害者の対応も卑怯だと思うことが多いです。よくあるのが、飲み会の後日に「記憶がない」と言って何もなかったように接してくるパターンです。こういう対応をとられると、気まずさがなくなるため一瞬ホッとしますが、やっぱりモヤモヤした感情が残りますよね。別に土下座みたいな大げさな謝罪はいらないのですが、「あのときはごめんなさい」と一言謝ってもらえれば、された側の気持ちは少し軽くなります(準強姦に近いような深刻なセクハラの場合は「ごめんなさい」では済みませんが)。誤解を避けるために言及しておきますが、後で「ごめんなさい」と言うならばセクハラをしても良いというわけではないです。「一言謝る」という行動でさえもできない人があまりにも多いので、意識してほしいという思いで述べています。とにかく、酔っていたことを理由になかったことにするのは、おかしな話です。
(北原窓香)
ここで、アンケートを取りたいと思います。職場の飲み会でセクハラをされた後日、セクハラした相手からはどのような態度を取られたでしょうか? 以下のリンクよりお答えください。