連載

本当にあった生活保護の水際作戦 大学進学を諦めたシングルマザーの実体験

【この記事のキーワード】
白ヤギの王子様……?

白ヤギの王子様……?

 いつもスッピン、メガネ、サンダルで、女子力の欠片もない上原だけど、いつか白馬に乗ったイケメン王子様が救いの手を差し伸べてくれるはず! シングルマザー女子大生・上原由佳子です。

 ここ数年、白馬の王子様が迎えに来てくれる日を願わなかったことは無い! と、言っても過言ではありません。だって「あなたを助けたい!」「あなたを救ってあげたい!」と大きな声で、社会の中心で愛を叫んでいる人達は多いけど、上原の狭いせまーい視野に入っている人達は、いまだに救われなていないんだもの。

 ただ、上原が無計画に大学進学してみたり、突拍子もないことを言ったりするのは、“救われたい”と言うより“変わりたい”と思っているからのような気がします。だけど、切実に“救われたい”と願ったことがありました。

 それは、生活保護の申請に行ったときのことでした。今回は、上原が「生活保護の水際作戦」にあった話をしたいと思います。

こんな家出て行ってやる! その前に。

 大学進学も決まっていた一昨年の11月、上原は突如、大学に進学することが怖くなりました。

 祖母の家に住ませてもらっているから生活が困窮することはないものの、日々繰り返される祖母の嫌味と暴言。機嫌が良いときは優しい祖母ですが、数時間単位で機嫌が変わり、不機嫌なときには、「死ね」「消えろ」「出て行け」「気持ち悪い」と独り言のように、私に呟いてきます。そんなときに上原が娘ちゃんを叱ると、「お前は気持ち悪いんだよ! お前が娘ちゃんを叱るな!」と罵倒される。娘ちゃんは娘ちゃんで、上原が叱られても祖母に言いつければ助けてもらえると考えている節があって、上原の言うことを聞いてくれません。祖母のお世話になっているのは確かですから何も言い返せませんし、出て行くお金もありません。いつまでも祖母の機嫌を伺いながら、この家で生きていかなくちゃいけないんだと考えると、いつか不満が爆発して、突発的に娘を殺してしまうのではないか、と思うほど当時は追い詰められていました。

「もう無理だ。大学入学は辞退して働こう。でも、新しい家に移るお金がないから、生活基盤が整うまでは生活保護を受けられるようにしなきゃ」

 そう考え、市役所に相談しに行くことにしました。

1 2 3

上原由佳子

1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

@yu756ka