そして、アニメ化もされた『神風怪盗ジャンヌ』で絶大なファンを獲得したマンガ家・種村有菜も、“おねショタ”ジャンルに挑戦。それが女子高生の愛のことが大好きな従兄の小学生・猫太が登場する『猫と私の金曜日』(集英社)だ。猫太は、愛と二人きりになるチャンスがほしくて相手の親に取り入って愛に家庭教師を頼むのだが、愛が恋する先輩がどんな男かを偵察するために学校やデートにまで無邪気な顔してついて行くなど、小学生ということを最大限に利用。そうかと思うと、「グロス可愛いねおいしそう」「その唇俺が予約してんだから」と、思わせぶりでエロいこともさらっと口にする。まるで天使と悪魔のように、無邪気な子どもの姿と獲物を狙うオスの部分を巧みに使い分けて愛に迫っていくのだ。
もともと腐女子界では一大ジャンルを形成していた“ショタ”だが、“おねショタ”の場合は、ビジュアルも青年風に小学生風と、あまりショタらしさにこだわりはない。むしろポイントは“精神性”にある。前出の有村がインタビューで「やっぱり高校生男子だと恥ずかしくて言えないようなことも、猫太くんはまっすぐ言えるので」と答えているように、通常ならあり得ない口説き文句の数々や包容力も、怖い物知らずの小学生という設定だからこそ、てらいなく表現できるのだろう。
しかし裏を返せば、女子が昔から求める少女マンガ界の男子像が、小学生にでも置き換えないと成立しないくらいに、現実は厳しくなっているということ。「強引」だけど「優しくて」、「胸がきゅんとするスキンシップ」が取れる。「ちょいエロ」で、かつ「私にだけ一途」……こんな男の子がいたらと夢見たものが、今では「いるわけないし」と鼻で笑ってしまうほど、リアル男子に恋愛スキルが皆無である状態を表している。
そう考えると“おねショタ”は、小学生にしか期待できない女たちの「諦め」が生み出したブームとも言えよう。男子は「女は貪欲すぎwww」と笑うけど、もう少し期待させてほしい。(二次元だけど)イケメン小学生を見習えよ!
(本田 彩)
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