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自殺未遂騒動のサークルクラッシャー・日南響子に学ぶ「男との別れ方」

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 しかし、これだけではメンヘラ傾向のある美少女がSNS絡みで自滅した事例のご紹介に終わってしまいます(蛇足ですが、この自滅の仕方は綿矢りさの小説『夢を与える』(河出書房)とも重なります。子役から若手女優としてのサクセス街道を歩む主人公が、彼氏によってインターネット上にハメ撮り動画をバラまかれ、一気にドン底まで突き落とされる最高に胸糞悪い感じの話ですが、その後味の悪さが綿矢りさのホンモノの才能を確信させる傑作です)。

痴情のもつれを全世界に公開

 この事件、悪いのは日南響子だけなのでしょうか。

 自殺未遂の発端と言われている交際相手、Nem(彼もまたニコニコ動画上でボーカロイドを使った楽曲を発表しているという点では、ニコ動関係者です)による浮気暴露ですが、この行為を日南側から「私的な生活領域の情報を、本人の許可なしに公開されたことで、精神的な苦痛を被った」として民事裁判を起こされた場合、人格権の侵害と見なされ、慰謝料の支払いを命じられる可能性が高いです。芸能人は公人と見なされるため、人格権の解釈が一般人と変わってくるそうですが、今回のケースは明らかに限度を超えた侵害行為となります(※ただし、知人の弁護士いわく「Nem側が浮気をされたことで精神的苦痛を被ったことと相殺されて、慰謝料額が決定されるだろう」、とのこと)。

 もちろん、浮気をされた側も被害者として理解することもできます。ただ、男女の痴情のもつれを公の場で明らかにしてしまうこの対応はいささか子供じみた対応と見なせるでしょう。このNemという人物が生年を公開していないため年齢がわかりませんが、一連の交際相手に対する批難を読むにつけ、未成熟さは感じられるでしょう。もっと言えば、彼もまたメンヘラ傾向があるのでは、と疑ってしまうところです。

 また、もう少し関係者を広げ、どうやって彼は彼女の浮気を知り得たのか(それもセックスの内容まで)を考えてみましょう。以下は完全に想像の世界の話ですが、こんな状況があったのではないでしょうか。

浮気相手(A)が友人(B)に日南響子との肉体関係について自慢
(A)「いや〜、あのコ、ビックリするぐらい簡単にエッチしちゃうんだよ〜、会ったばかりなのに生で3回もさせてくれてさ〜」
(B)「マジで!?」

B、面白い話を聞いてしまったため、友人(C)に伝える
(B)「この前、Aが言ってたんだけど、日南響子っているじゃん、あのニコ生とか大好きなモデルの。あのコ、ちょー簡単にヤれるらしいよ。生で3回できたってさ」
(C)「マジで!?」

C、面白い話を聞いてしまったため、友人(D)に伝える
(C)「この前、Bが言ってたんだけど、日南響子っているじゃん、すげー可愛いのに、オタクっぽい、あのコ。めちゃくちゃヤリマンなんだってよ。Aが生でヤリまくってるって」
(D)「マジで!?」

同様の伝聞ゲームが繰り返され、浮気情報がNemの元へ
(X)「お前の彼女、Aとヤリまくってるらしいぞ。初めて会って生で3回ヤラせたって」
(Nem)「マジで!?」

 浮気相手が複数おり、さらにそれがニコニコ動画の関係者だったのであれば、こうして彼氏の元へ情報が届く可能性も充分現実にありえるでしょう。あれだけの美少女とセックスできたら自慢してみたくもなりそうですが、そこは浮気相手も迂闊で、秘密は秘密のままにしているから楽しいことが理解できず、自慢したい気持ちを我慢することのできない未成熟さを持っていたのかもしれません。

 なんにせよ、1対1の痴情のもつれから、ニコ動というグループの関係を見ていくことによって、今回の事件は日南響子という「サークルクラッシャー(男性グループのなかにいる女性が、その恋愛問題によって、人間関係を悪化させ、サークルを壊滅的に追い込んでしまうとき、問題の中心にいる女性)」をめぐっての騒動と見なせます。今回は、サークルだけでなく、サークルクラッシャーまでダメージを負う結果となり、見事に誰も得した人がいない焼け野原状態ですが……。

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カエターノ・武野・コインブラ

80年代生まれ。福島県出身のライター。

@CaetanoTCoimbra