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欲望という暴力について~なぜ、欲望という暴力の中で恋心だけが肯定され、祝福されるのか

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 件の「キモオタ」とは別の、これまた女子に「キモオタ」と呼ばれていたある男子が、「人間(のエロ)は裏切るけど、漫画やアニメ(のエロ)は裏切らない」と言っていたことがありました(そしてその発言をキモがられておりました)。人間は裏切ります。好きだったものや人がどうでもよくなったり嫌いになったり、「人を好きになる」という暴力は常に、「その人から嫌われる」という暴力に向き合うということです。非実在の人物と実在の人物、前者対しても後者に対しても、人は「恋をする」という欲望/暴力をぶつけることができます。ですが、実在の人物は、自分のことを好きな人を嫌うことができるし、裏切ることができる。

 私は、実在する人間から実在する人間への恋心という暴力には、裏切りという攻撃と防御が可能であるがゆえに、特権的に許され祝福されている側面があるように思うのです。そうだとすれば、「対等な暴力を突き詰める」「リングで試合相手と殴りあわなきゃ格闘技じゃねえ」みたいな、なんだかとってもマッチョな話ですよね。

 しかし、その「対等な暴力を突き詰める」ようなマッチョな世界は最近、「芸能人の不倫を糾弾することが“正しさ”というキラーコンテンツとなる」「オタク(実在しない相手へ)の欲望を批判することで女性が突きつけられる現実を良くしよう」という欲望と結びついてきていると切実に感じます。そしてそのような状況に、非常に危機感を覚えます。

 それはすなわち、「裏切りを許さない」という「正義」の台頭であり、「裏切りを許さない」という「正義」を突き詰めれば、欲望そのものを去勢するほか道は無くなるように思うからです。

 欲望を去勢したい欲望には、どういった欲望で抗っていけば良いのでしょうか?

いよいよ明日(2/26)から3日間連続イベントです!

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backno.

 

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柴田英里

現代美術作家、文筆家。彫刻史において蔑ろにされてきた装飾性と、彫刻身体の攪乱と拡張をメインテーマに活動しています。Book Newsサイトにて『ケンタッキー・フランケンシュタイン博士の戦闘美少女研究室』を不定期で連載中。好きな肉は牛と馬、好きなエナジードリンクはオロナミンCとレッドブルです。現在、様々なマイノリティーの為のアートイベント「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」の映像・記録誌をつくるためにCAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中。

@erishibata

「マイノリティー・アートポリティクス・アカデミー(MAPA)」