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有名精神科医、占いにすがる。「占いとは、当たるとは何か」を掘り下げた結果

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 老いの問題だけとは思えない、〈不幸の被爆〉のような感覚は、今まで精神科医として患者に不幸の引導を渡すという役割(患者に向かって病気なんだからその夢はあきらめろ、と告げるなど)を担ってきたツケなのかと思い悩みます。理不尽! 運命とか呪いとか不可抗力なもののせいにできたら、まだマシ。希望が欲しい、奇跡と遭遇してみたい、そして救われたい……そんな思いから、突破口を探しに占いへと突撃するのです。

 ここまでは、占いに足を踏み入れるきっかけとして、よくあるケースかもしれません。だが、そこからが凄い。〈なぜ、占いなのか〉〈自分は占いに何を求めているのか〉〈占いとはなにか〉〈当たるとは何か〉ということを検証しながら、自分のトラウマや執着、依存、コンプレックスといったいわゆる〈恥部〉をこれでもかとさらけ出すのです。

占いとは、何か?

 占い師の前で号泣しながらも、その心情を分析していくさまは、まるで深海魚の解体ショー。BGMには「俺の、俺の、俺の話を聞け~」というクレイジーケンバンドの有名曲が鳴り響いてきます(ただし2分でなく、数時間はかかりますが)。

 ほーらやっぱり占いなんてただのカウンセリングじゃん。いやでも、このいかにもどこにでもいるおばちゃん風情が、実は異能の持ち主である自信の現れなのか……!? そんなふうにグルグルさまよった結果、著者は「占いは当たる」と断言。それはもちろん、霊能力云々でなく〈世界のとらえかた〉なのだけど。

 そういえば昔、知り合いが自分はいつ結婚できるのかを行列のできる有名占い師に相談した結果、「スカートを履け」と言われた出来事がありました(実際彼女はほぼパンツスタイルで、特に刺繍入りジーンズを好んで履いていた)。それって占いなのか!? と思わずツッコんでしまいましたが、同書の解釈であれば、あれもまた正しい答えだったのかも。でも、スカートを履けという女友達レベルのアドバイスで、1時間さんまんえん……。

 自分が何を求めて占いを頼るのか、同書はそれを整理する手がかりとなってくれることでしょう。占いはさておきで、春日センセイの内面世界を読んでいるだけでも、十分面白いですが。

(謎物件ウォッチャー・山田ノジル)

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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