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今井絵理子さんの報道を連発させた地方コミュニティの閉塞性と排除

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 自分のためにお金を稼いで自立している人だっています。だから「風俗で働いている=搾取されている」とは上原は思っていません。でも彼氏に殴られてお金をせびられるから仕方なく風俗で働くとか、いろんな形で搾取されることがあります。「そんな関係、さっさと辞めてしまえばいい」と思われるかもしれませんが、ひとりになるのが怖い、孤立するのが嫌、コミュニティの外には出られない、だからどんな暴力を受けても耐え続ける。そんな人もいるんです。

 上原は18歳の時に、ピンサロの店内に入ったことがあります。めったに窓を開けない狭い店内には「ついさっきまで、行為をしていたんだ」とわかる匂いが残っています。そして、店内を掃除すると、古びたソファーの下から使用済みのコンドームが見つかる。ここはピンサロなのに……。女の子たちがどんな気持ちでそれをしたのか個人によって違うと思います。そして上原には自分の感情すら上手に処理することができませんでした。

 そのお店には、複雑な事情を抱えていたり、容姿に恵まれているとは言えない女性が働いていました。また他のお店には、キャバクラなどで雇ってもらえる年齢に達していない、18歳未満の少女たちも働いていたようです。年齢に関係なく、それぞれが複雑な事情を抱えている。収入から必要経費を差し引いたら1日600円しか残らないシングルマザー、「中出しされたけど病院に行くのは怖い」と怯える少女。こうやって書き出したらキリがないくらい陰惨な雰囲気がある場所なことだけは確かです。また、上原自身、ちょっと間違えば、その空気にのまれてしまう可能性もあります。

娘ちゃんとゆる~く生きてます

 前回の記事ではどんなコミュニティで起こっている出来事なのかを限定していませんでした。あの記事が「沖縄のすべて」だと思われてしまうと、単にマイナスのラベルを貼り逃げしているようなので、ここで訂正と弁解させてください。

 今回の出来事は、上原が過去にいた、言葉の暴力、物理的な暴力、色んな種類の暴力が許容されやすい環境で起きたことです。上原の<もといた場所>が貧困家庭やひとり親家庭の子供だけで作られているわけではありませんが、お酒を飲んで感情的になっているとき、何かに疲れているときにこぼれてくる言葉からは、決して、恵まれた環境にいたわけではないこと、そして何か傷のようなものを持ち続けていることを感じさせられます。

 上原はいま、<もといた場所>から離脱して、娘ちゃんと一緒にゆる~く生きています。でも、やっぱり、<もといた場所>にいた頃の方が、所属意識みたいなものは安定していた気がします。今みたいに、酔っぱらっても「居場所が無い!」なんて管を巻かなかったですし(笑)。でも今はとにかくここで娘ちゃんと一緒にゆるく生きていきたいな、と思っています。

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上原由佳子

1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

@yu756ka