これらの4つの契機は「どれかひとつ」だけに当てはまるわけではなく、複数が絡んでいる結婚のほうが多いでしょう。そして、これらは周囲でもよく聞く「結婚の理由」ではないでしょうか。ただ、逆に言うとこれぐらいしか「結婚する理由」にはバリエーションがなく、このバリエーションの少なさが「結婚する理由がないから結婚しない」という消極性と晩婚化の理由にもなっていそうな気がします。そこに新しい動機付けとして「もう恋愛をしたくないので、結婚する」というのを付け加えるのが今回の提案です。これは恋愛をしない人に対しての、恋愛をする動機付けにもなっています。
「結婚すると、もう恋愛しなくても良い」というメリットは、わたし自身が結婚して感じたことでもあります。
まず、結婚すれば、合コンなどの出会いの場面で頑張ったりしなくて良いし、「相手は今回のデートで楽しんでくれてるかな……」などと不安になることもない。もちろん、他人から「彼女作らないの?」、「結婚しないの?」と言った質問を受けなくなりますし、異性に対して話しかけるのにしても「この人は結婚しているから下心はないハズだ」と思ってもらえる(か、どうかは本当のところわかりませんが、少なくともこちらは相手がそう思っているであろうと想定している)ので、変に身構えられたり(身構えたり)せず、円滑なコミュニケーションが円滑とれます(正直、結婚して恋愛のステージから降りてしまってからのほうが、女の子と話すのが楽しくなりました……。若い女の子にちょっかいを出して、仕事の邪魔をするオッサンの気持ちがちょっとわかる)。
もちろん、結婚すれば他人と生活することになるわけですから、一人暮らしのような好き放題は制限されます。しかし、これが結婚の本質なのです。ごくシンプルに考えると、結婚とは「他人と生活することでしかない」のです。結婚のハードルはこれでグッと低くなるのではないでしょうか。
「理想の人と生涯ラブラブであることが結婚の本質だ!」とか考えていれば、いつまで経っても結婚に踏み切れないし、結婚後に幻滅して発言小町に「こんな夫をおかしいと思うのはわたしだけでしょうか?」などと質問にみせかけた意見の表明をする羽目になる。「理想の人」を追い求めるタイプの人は、自分の思い通りになる他人を求めているだけで、自分都合でしか物を考えていないため、ちょっと不具合がでるとストレスが溜まりやすいと言えましょう。
しかしながら、結婚の前にはやはり面倒な恋愛のプロセスが不可欠です(お見合い結婚にしても、何らかの手順が必要なので、すぐに結婚を決められないのは変わりません)。ただ、何度も面倒なことを繰り返すよりは、早めに終わらせてしまった方が人生なにかとスムーズにいくように思います。
言うなれば、結婚も家屋購入も似たようなものなのです。ずっと賃貸暮らしのままだと、更新の度に「更新料を払うなら、引っ越そうかな~」と物件探しをしたり、契約書をその度に書かなくてはならなかったり、面倒なことが繰り返し発生します。それが持家になってしまえば、一回で済ませられるのです。またもや、わたし個人の経験上の話になりますが、家を買うときの手続きは賃貸契約の2.5倍ぐらい面倒でしたけれど、それでも「今より良い物件探しないかな~」なんて色々調べなくて良いのは、持家の良いところだと感じます。引っ越しするかも、とか考えてると好きな家具とかも買えないですしね。
というわけで、今回は「結婚することのメリット」について、一般的には語られない面から提案させていただきました。もちろん、読者の方々には面倒臭いことが大好きな方もいらっしゃると思いますし、恋愛が面倒でないという方もいらっしゃるでしょう。また、「結婚したらもう恋愛できなくなっちゃったよー超つまんなーい」と恋愛の喪失を嘆く方もいるようです。そうした方は、結婚などせず、恋愛を謳歌していただければ、と思います。
■カエターノ・武野・コインブラ /80年代生まれ。福島県出身。日本のインターネット黎明期より日記サイト・ブログを運営し、とくに有名になることなく、現職(営業系)。本業では、自社商品の販売促進や販売データ分析に従事している。