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「育児と就業を両立する女性の割合」ワースト勢が揃う関東圏…残念な県は残念なまま? 女性活躍推進法チェック【関東ブロック】

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4月1日に施行される「女性活躍推進法」。果たして女性活躍推進法は、「女性の活躍」を推し進めることはできるのでしょうか。各都道府県にはどのような取り組みがあるのか、そしてそれはどれだけ役立つのか、突っ込みどころ満載のおかしな取り組みばかりなのではないか……? 第一回【北海道・東北ブロック】第二回【中部ブロック】に続き、今回は【関東ブロック】を取り上げます。

着眼点は前回、前々回と変わらず3つ。

女性目線か (神奈川県のように男性しか出てこないというケースも見られます。女性が登場しているか、事業の対象者が女性か、確認します)
しっかりと事業を行っているか (中には、「とりあえず」「最低限だけ」やっているケースが見られます。しっかりと役立つ事業なのか、確認します)
サイトのデザインは見やすいか (行政のサイトは必要な情報を探しづらいことで有名! 情報が得やすいか、アクセスしたくなるデザインか確認します)

中部ブロックでは、「女性をお姫様扱いする静岡県」「県公認の婚活サイトを作っている福井県」など、特色豊かながら県外へのPRが目立ち、県内の女性のことをしっかり考えてないのでは? と心配になる県も見られましたが、今回はどうなのでしょうか? 関東ブロックには人口・企業数ともにNo.1の東京都が含まれます。また、育児をしながら就業している女性の割合が全国でワースト1位の神奈川県、3位の埼玉県、4位の千葉県が属していますので、この3県の取り組みにも注目です!(総務省「平成24年就業構造基本調査」より)

ハーモニーフライト。県のお金で海外視察に行ける茨城県

茨城県は、女性活躍推進法にあわせた特設サイトは作っていませんし、行っている事業も1999年の「男女共同参画社会基本法」を基とした事業ばかりです。事業だけではなく、デザインもなんとも地味です。例えばこちらのイベントのチラシ。女性が働きやすい環境づくりを目指し、子育てへの理解のある上司=イクボスを増やそうとするイベントのチラシです。

イベントに登壇するのはmessyでもインタビューが行われているNPO法人ファザーリングジャパンの安藤哲也さん。このチラシからはどういったセミナーが行われたのか把握できませんが、少なくとも言えるのはとにかくダサい。いかにも、パワーポイント初心者が作ったようなチラシです。☆マークを多用したり、文字に無駄に影を付けたり、著作権フリーの画像を挿入してみたり。これぞまさしく、行政の作る資料! といった感じ。このチラシをみて、「イベントに参加しよう」と思う人がどれだけいるのか……。

茨城県の取り組みの中で気になるのが「ハーモニーフライトいばらき」。なんと、茨城県のお金で女性の社会進出が進んでいる北欧へ視察旅行に行くことができます。昭和57年からこれまで32回行われ、計826名もの女性が視察に行っています。しかも、視察先の国は参加者の希望をもとに決めるとのこと! 参加条件は、茨城県に5年以上住んでいる満30歳以上満63歳以下となっています。茨城県にお住まいで、女性の社会進出にご関心をお持ちの皆さん、これは申し込まないともったいないですよ! 応募も、1,000字程度のレポートを1枚出せばいいだけ、とかなり申し込みのハードルも低くなっています。もちろん、応募者が非常に多く、抽選で人数が絞れられている可能性もあるでしょう。女性の社会進出に意欲的な人が選ばれていることを願います。
※詳細はこちら:https://www.pref.ibaraki.jp/bugai/josei/danjo/documents/0.pdf

毎年の参加者は16名程度で、茨城県が負担する経費は1人当たり25万円程度とのことですから、この事業だけで毎年400万円以上かかっていることになります。400万円かけて、恩恵を受けることができる人はわずか16名のみ。女性の社会進出が進んでいる国で学んできたことを家族に話したとしても、400万円かけてたった数十名にしか影響を与えられないのは、事業としてコストパフォーマンはかなり悪いでしょう。毎年2月に報告会を行なっているそうですが、その情報もネット上では見つけることができませんでした。せっかくの良い研修の機会ですから、もったいないように感じてしまいます。

【茨城県】
総合評価  △
女性目線  △
お役立ち度 ×
デザイン性 △

・コメント
海外視察事業は具体的な成果が現れてなければ、近いうちに「税金の無駄遣い」と指摘され、なくなるかもしれませんね。

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