カルチャー

「女は子供を産みたいはず、でしょ?」女の性と生殖を考える。中村うさぎ×牧村朝子×柴田英里/messyプレゼンツ@新宿眼科画廊

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牧村朝子

牧村朝子さんは客席にも気を配る姿が印象的でした

柴田「まとめに入りますけど、女性は再生産しなきゃいけないのかと言ったら個人の自由」

うさぎ「それが義務みたいに言われるのは世の中の少子化を憂えてる人なんだろうけど、少子化だって別にいいじゃんって私は思っちゃうんだよね」

牧村「少子化によって困る問題は社会がまわらなくなること、国と国の間の競争力が弱まることなどですけど」

柴田「まわさなくてもいいやもう滅びちゃってもいいかーって発想もあってもいいと思うんですよ」

うさぎ「なりゆきでね」

牧村「自然の摂理に逆らうなって声高に叫ぶ人よくいますけど、自然の摂理が大好きならそれこそ、ねえ」

柴田「昔からショーペンハウエルも言ってるように、人間って生きてるだけでつらいから、生まれちゃったらしょうがないけど、生まれなくてもいいよねと」

うさぎ「子供を産むことを正義化している人もいるし。私が前にすごく驚いたのは、あるお笑い芸人とテレビ番組の共演で打ち合わせをしているときに、北朝鮮問題についてその男性が『北朝鮮なんてなあこっちからミサイル撃ち込んで全員殺してやればいいんだよ』と発言した。私はびっくりして『それ本気で言ってるんですか?』『ああマジだよ』『じゃあその意見、本番でもカメラの前でちゃんと言ってくださいね』と。だって正しいと思ってるんなら言えばいいじゃない、そしたら『カメラの前では言えないよ』と言うから、『カメラの前で言えないようなこと言わないでくださいよ』とやりあって、その男性はすごく激怒して『あんたは子供がいないから、北朝鮮に子供を拉致された親の気持ちなんてわかんないんだよ!』と怒鳴ったんですよ。ええー、子供いないけど想像力くらいあるし、そんなこと言ったらお前だって子供拉致られてないじゃん、そこは想像力で補ってるんでしょ、と思いましたね。よく公開論争でもあるじゃないですか、子供のいないやつに親の気持ちがわかるかって主張、そりゃ100パーセントはわかんないけど想像くらいできるじゃないですか。なんであんなに……『自分はちゃんと子供を持っててねお前みたいな半端もんとは違うんだよ』って言い方だったんだよ。ダンカンがね」

柴田「ダンカンなんだ(笑)」

うさぎ「その事件以来すごい腹が立ってね、本番中でもダンカンのギャグには一切笑わずオールスルーしたわよ、気まずい雰囲気ばりばりでね。で、話を戻すと、正義だと思ってるんだよね、そういう発言をする人たち」

柴田「それすごくわかります。私は自分が『子供を産みたくない』という意見を別に正義として戦わせようなんて思ってない。だけどあちらはそうではなくて、社会的に正しいのだから私の意見は尊重されるべきだと考えてグイグイくる」

うさぎ「子供を産んでることで社会の役に立ってるって自負があるからそう言ってくるのかもね。でもそうすると、役に立たなきゃいけないのかって問題がでるじゃない。社会の意役に立つ人間しか生きていちゃいけないのかとか。役に立たない人間にも人権はあるんだけど。役に立つとか人類社会に貢献したかどうかで人の価値を値踏みするならば、激しい差別問題を内包していますよね。体が不自由で仕事ができない人はどうするんだとか」

柴田「産めない女は穀潰しみたいなね」

うさぎ「私が思うのは、子供を産むことは再生産だし納税者を増やす行為だということで、子供を産むことが本当に正義だと思っているんだったら、じゃあシングルマザーへの手助けがどうしてこんなに薄いのかと。あの人たちは子供を産んで育てて食わせて働いて納税もして24時間足りないくらいやってるじゃないですか。子供をひとりで育ててると働ける時間が限られてきちゃうことを考えると、ケアが足りない。子供を産んでる母親はえらいっていうんだったら、その人たちのケアをもうちょっとしないとって思う」

柴田「セックスワークの一部が、シングルマザーへの手厚いケアをしていたりという現状もあります、一部ですけど。私はデコログやクルーズブログが好きでよく巡回しているんですけど、9時〜17時で働けてお金をきちんと稼げて子供が風邪を引いたら突発的でも休めてなんなら託児所がついてて、っていう風俗で働くお母さんのブログが結構あります」

うさぎ「結婚しないで子供を産んでいる女性のことは、尊敬対称に含まれていないよね。子供を産むことがすべて正義なんだったら、産んだがために大変な思いをしている人たちにもっと金を出して支えろよと思う。結局、子供のことじゃなくて『健全な家族幻想』が最初にあってね、健全じゃない人間は全部、ケア対称から除外すると。子供を産まない女も、離婚した人間も、同性愛者などセクシャルマイノリティも、ましてや婚外子を生んだ女などは健全ではない。理想の家族の枠外にはみでる人はみんな健全ではない、後ろめたい生き方にしてしまっている」

柴田「ピラミッドの頂点にいるのが、健全な家族なわけですね」

うさぎ「ちょっと前に『デスパレートな妻たち』を見ていて、意外とアメリカもそうなんだなーと思った。奥さんが旦那よりバリバリ稼ぐキャリアウーマンで、2〜3人の子供を産んでて、でも育児も家事も中心になってやっている女性が、子供のクラスメイトのママに「また子供を預けて仕事に行くの? 子供がかわいそう」と嫌みを言われて悩むシーンがある。日本ではよくある話だけど、アメリカにもそういうのあるんだなーと。アメリカは進んでいると思い込んでる世代なので、えーあっちでもまだそんなんあるの、と。母親は母親で大変だと思う、こうあるべきって枠にはめられて」

柴田「日本のママブロガーやママタレは、百点満点をブログで求められています。子供のおやつは絶対てづくり、離乳食も市販のなんてダメ、目の下にクマつくりながら母乳で子育て。圧迫がすごい」

うさぎ「産んだら産んだでガチガチの母親像があるのか」

柴田「なぜ母乳を与えない!? とかね」

うさぎ「泥水飲ませてんじゃないんだからいいじゃんねえ。この問題って、産まないことだけじゃなくて、産んだら産んだでまたプレッシャーにさらされる、誰かの幻想を常に押し付けられている私たち、ってところにいきますね」

牧村「圧迫メリーゴーラウンドですね」

柴田「料理の配膳の味噌汁とご飯の位置が逆だとかいうだけで、こんな親の子供がまともに育つわけがないと叩く人までいるんでね」

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