インタビュー

「本当は結婚したくないのだ症候群」とはどういうことなのか?/北条かやさん

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――そもそも男性社員に対してと女性社員に対してで、育成方法が異なるというのも、ちょっとわかりません。まず男性社員を雑に扱いすぎているのではないか、と思います。

北条 1986年にできた「男女雇用機会均等法」で、「女性総合職」というポジションができました。これまでは簡単な仕事しか与えてこなかった女性たちに対し、男性と同じように「バリバリした働き方や指導」を求めようというムードが盛り上がった。でも、多くの男性上司は男性の部下しか育てたことがなかったから、女性総合職の存在に戸惑ったんです。それまでは、男同士だから雑に指導しても勝手に育っていった面はあるでしょう。ノミニュケーションも個室での面談も、男性同士だと「セクハラ」に見えづらいですし。でも、そこに女性部下が加わると、どうしても、仕事の成果とは別に、見た目や若さなど「性別による評価軸」が入ってきてしまいます。なにがほんとうの「成果」かわからなくなってしまう上司も多いでしょう。昔ながらの男性中心的な企業組織では、新卒の女性総合職へのネタミもあったと思います。一方女性の側も、入社したのに「自分には無理、合わない、つまらない」と、すぐやめてしまうケースが男性より多いと思います。昔も、今もです。結婚や出産をふまえ、キャリアを柔軟に考えているともいえますが……だから余計に「女性は育てづらい、雑に扱ったら辞められてしまうのではないか」と、腫れ物に触るように思われる。

――どんなお仕事でも男女問わず成果を上げればある程度は評価されるものだと思いますが、成果ではなく努力の過程を見て認めてほしいというのであれば、やはり「目に見える何か」をしないと解決できないですよね。ものすごく簡単な例でいえば、上司に企画書を書いて提出するとか、アピールのような……。

北条 企画書を出したとして、そのこと自体を認めたり評価したりしてくれて、書面に込められた思いを汲み取ってくれる上司だとうれしいということでしょうね。でも、表面上は「女性のことが理解できない」と言っている男性ほど、そういう女性のことが好きじゃないですか? 以前、家事代行サービス会社「ベアーズ」の執行役員男性が女性のマネジメントについて「女性は数字だけでは燃えてくれないめんどくさい生き物」とnoteに投稿して炎上していましたが、別の見方をすれば、今まで数字だけで燃えていた男社会の方がおかしいわけですよ。

――女性にとっての「王子様」は結婚相手に限らないというお話をここまで伺ってきました。つまりこれは、自分を理解してくれる誰かに出会いたい、という願望だということでしょうか。

北条 理解されたいということを含めた依存心全体をさしても良いと思います。それだけで一冊本が書けるくらい執念深いものだと思います。

――女性から男性への依存心を王子様願望と表現するならば、男性から女性へのそれは「母性願望」と言いかえることが出来そうですね。北条さんは、『本当は結婚したくないのだ症候群』の中で「独身女性たちは、男女平等というタテマエと、王子様願望というホンネの間で揺れている」と書かれていますが、タテマエとホンネ、どちらに従った方が楽になれると思いますか。

北条 難しいんですよね。私を含む現在アラサーの女性たちは、男女平等というタテマエ的な社会通念が染み込んでいるはずなのに、誰かに引っ張ってもらってラクになりたいホンネもあって、どちらを選ぶのが正しい、とは言えません。結局、みんなにとっての正解なんてなくて、自分はどうなのかを考えてみるしかないと思います。先ほども言いましたが女性はキャリアデザインの幅が広いですから、生き方の選択肢は少なくないはずです。で、そうして出した自分の決断を、周りにも表明していった方が楽だと思うんです。自分がどうしたいのか分からずに周囲の顔色を窺っている人が一番苦しいし、周りからもホンネが分からないと思われちゃいます。

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 余談になりますが、ここまでシンデレラコンプレックスや王子様願望というワードを使ってきたものの、アメリカの「ディズニープリンセス」は、2001年頃から王子様の存在をばっさり排除した女の子の楽園的な「ディズニープリンセス」シリーズのキャラグッズを展開し、成功しています。アクティブで勇敢なプリンセス像が次々に打ち出され、「受け身の女性が幸せになれる」などと旧世界的なメッセージを発するものではありません。今の現役女児たちは、強く美しいプリンセスへの憧れを持ちつつも、「いつか王子様が…」という幻想を内面化させてはいないでしょう。

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姫野ケイ

ライター。1987年生まれの宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。学生時代は出版社でアルバイトをしつつ、ヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。猫とお酒を与えていれば喜ぶ。

@keichinchan