小説は無視された
先週、渾身のコンビニ8000字小説を公開したところ、ほとんど黙殺されてしまった無職の奥山村人です、こんにちは!
……せめて、つまんないとかなんとか言ってもらえるかと思っていたんですが、なんだか、誰も読んでない気がします。わりとショックです。みんながコンビニで8000字書いてみろっていうから就職活動を休んでまでして書いたのに……。小説なんだから、コンビニに行くっていうのはメタファーなんですよ、とか言うのもなんか虚しいですね……。
さて、以前に「自分のことを話しすぎてしまったとき、恥を感じるのですが、どうやって立ち直ればいいですか?」という相談をしていました。
・恥ずかしい話をしゃべりすぎたり余計なことまで言ってしまったりして、あとで「うわぁぁぁっっ!」って後悔することはしょっちゅうあります。そうなったときは漫画読んで脳みそをリセットします。
・すごいわかります。酔っぱらって話しすぎたりするとすごい後悔します。そうしたらまた死にたいとか言って誤魔化すしかないです。
・お酒を飲むとつい話しすぎますが、みんな酔っ払ってるから次の日には忘れてると思います。
やっぱり皆さんも、似たような経験をされているようです。みんな酔っ払っていて次の日には忘れていたとしても、こっちが覚えてるから問題なんですよ! ということでコメント欄のアドバイスに沿って、漫画版の『三国志』(横山光輝全60巻)を全巻読み返して現実逃避することにしました。……劉備は偉いなぁ、曹操は強いなぁ、などと阿呆みたいな感想を漏らしながら日々を生活するうちに、気がつけば三日が過ぎていました。さすが三国志です。大長編漫画を読めば恥ずかしいことも苦しいことも忘れられる、ということがわかりました。さて、次はジョジョにしようか、それともこち亀全巻買ってこようか……と考えているうちに、ふと本棚の隅に置いていた三国志のゲーム(Koei)が目にとまりました。気付けばインストールも完了、僕は早速、中国統一に乗り出しました。一週間が過ぎました。僕は英雄として何度も中国を統一しました。そしてふと、我に返りました。
こんなことしてる場合か!
現実逃避というのは諸刃の剣で、たしかに精神は安定するのですが、その分現実は放置されて、いよいよにっちもさっちもいかない状況に落ち込んでいくわけです。ゲームの中で幾ら偉人になっても、それで給料が貰えるわけじゃない。わかりきっていたことでした。
愚痴ノート
他にも色んなコメントやメールを頂きました。
・僕もよく、混沌とした、わけのわからないもやもやした悪い感情に飲まれ、気力がなくなってしまう事があります。そんなときに僕が行っているのは、レコーディングです。つまり、自分の中にいる、むかつく自分や、理想の自分、畜生、くやしい、なんでこんなことができないんだ、こんな自分が嫌いだ、あの人は、あんなにできるのに、本当は、こうなりたいのにと、自分の中にいる、嫌な自分、むかつく、不満な自分をノートにぶつけます。きれいごとを書く必要はなく、ありのままの悪いと思う自分をノートにかきつらねるのです。誰にも見せることのない、自分だけの為の愚痴ノートですね。
そこで僕も愚痴ノートを書いてみることにしました。ところが、これがまぁ、酷い。一部を抜粋すると、以下のような感じです。「僕は才能があるのに」「なんで認められない」「認めない世間がおかしい」「僕の小説の方が一万倍面白いのに」「みんなつまんない小説書きやがって」「全部燃やしてやる」「この世から本なんか消えてなくなればいいんだ」「世界中の人間が嫌いだ」「殺してやる」「コメント欄め!」「コメント欄め!!」「コメント欄ムカつくぜ!」……ぜーぜー…………はぁ……はぁ。自分の中の醜い感情を直視するというのは、これはこれで中々エネルギーのいる行為でもあります。
カウンセリングに行くのをやめた
・不幸でいればいい。そのままで。あなたが言うように自分の気持ちに違和感があるということも分かるよ。薬は安定させる代わりに本来持っているものさえ感じなくなったりもするから。決めるのはあなただし、あなたの人生だからあなた次第でどうとでもなるよ。
というコメントを読んで、悩んだ末、結局カウンセリングに行くのはやめてしまいました。
カウンセリングに行って、クスリを飲んで、それが圧倒的な救済に繋がるのか。
もっとなんか知らないけど、僕は全面的に人生が肯定されるような救いが欲しいのです。
辛さとか苦しさとか、そういうのをちゃんと感じて、生きていきたい。これはきっと、受難だと思うんですよね。全て神様が与えたもうた試練だという気がするんです。「神は乗り越えられる試練しか与えない」といいますよね。
働いてないことも、金がないのも、両親の目が冷たいのも、元カノのミョンちゃんにまたフラれたのも、かつての友人たちと疎遠になっていくのも、全部身から出た錆……じゃなくて、試練です。
それらのことを、それでも大丈夫だとか、以前のようにクスリで感受性を誤魔化して、どうでもいいって感じるようには、なりたくないんです。
だって、どうでもよくないから。
僕もこの試練に向き合って生きていくべきなんじゃないかと思ったのです。
とはいえ、悩んだり苦しんだりすることにも、最近の僕はもう、疲れてしまいました。
とっとと神様というのに会いたい。いるんだったら。
いよいよ矛盾するようですが……いい加減、解脱、したいんです。悟りを開きたい。
新興宗教に入信するべきなのではないだろうか? という気がしてきました。最近、わりと真剣にネットサーフィンして、どんな宗教に入ろうか色々とリサーチを重ねています。でも全く信じられそうな宗教が見あたらない。自分が教祖になって、新興宗教を開くのはどうか? という気がしてきました。そうなんです。
神様が会いに来ないなら、僕自身が神になればいいんです。
僕が、僕こそが神だったんです。
僕が宗教を開いたら、皆さんは入信してくれますか?
僕が聖書を新たに書き下ろします。酒池肉林です。ウハウハです。
…………生きるのがつらいんです。
だって、そうでしょう?
人生には苦しいことしかありません。何もかもが苦しい。そうじゃないですか? 楽しいことがあってもダメです。明日には虚しくなります。浮かれ騒いでも、漫画を読んだって、何をしたって恥ずかしさと虚しさが襲ってきます。人生は空虚です。悩んだって悩まなくたって、虚無~、が漂うのです。どうせ死んだらゼロになるのです。
そもそも、なんで僕は人間としてこの世に生を受けてしまったのでしょうか? そんなの、全然望んでなかった。
生まれてくる前に死んでしまいたかった。
人生がゲームだとしたら、この世はまるっきりのクソゲーです。ゲームバランスは崩壊してるし、クリアが出来ないんです。
何をしたらクリアになるのか、わからないんです。
「孫が欲しい」
と、お母さんがある日の夕食でぼそっと言いました。僕はだいぶ、胃が痛くなりました。
僕「無職にどうやったら子供が出来るんだよ! 人生舐めてんのか!」
と言うと、どうやらお母さんの友人のお子さんに、実際にずっと無職で家庭を持っている人がいるのだとか。夫も奥さんも無職。しかも子供は4人。一体どういうことなんでしょうか? やりたいことやったもん勝ち、と忍たま乱太郎も歌っていました。世の中、なんでもありなのかもしれません。
母親「あなたもね、子供が出来たら人生変わるかもしれないわよ。私は、変わったから」
変わった挙げ句がこのクオリティの息子(僕)かと思うと、なんだかいたたまれない気持ちになりましたが、僕は黙りました。何も言える気がしませんでした。よく聞きますよね。子供が出来たら人生観が変わるとか、そういう話。実際どうなんでしょうか?
・寝られなかったらそれまでなのでとりあえず目をつぶって妄想をするんです。小説家になって芥川賞とってたくさんのヒット作を飛ばしてる自分でも美女と結婚してる自分でも。
そこで僕も妄想してみることにしました。
無職の婚活
よし、就活の前に、結婚しよう、と。
結婚して子供を作れば全てが、なんか知らないけどうまくいくんじゃないかという気がしました。
とはいえ、ミョンちゃんはもう遠く遙か彼方の外国へと旅立ってしまいました。かくなる上は、婚活です。婚約者が出来れば、そのために頑張って働こうという気が湧いてくるんじゃないでしょうか? ……知らないけど。とにかくまず、新しい相手を見つけなければなりません。……しかし引きこもりの僕、出会いなんかあるハズもありません。
なのでネットの力を借りることにしました。そうです、この世には婚活サイトというものがあるのです。僕は早速登録しました。
年収:0万円
職業:無職
自己紹介:作家志望で小説を書いているため、働いていません。でもそのうち働こうかと思ってます! 優しい人間だとか、世の中舐めてるだとかよく言われます!
相手への希望 :優しくて性格が良くて養ってくれる人が大好きです。一緒に色んなことが出来たらいいなと思います。
とりあえず以上のように簡単に登録を済ませて、早速登録されてる方のプロフィールをチェックします。
なんだか、最近の婚活サイトというのは、往年のmixiを彷彿とさせるようなデザインとなっています。SNS機能が豊富で、プロフィールの文章に対して検索をかけたりすることが出来ます。「人生」「死」「絶望」「虚無」などで検索をかけても、それなりにヒットします。僕は気がつけば色んな人の婚活プロフィールを読みふけっていました。
そして何通かメッセージを送ってみるも、ことどとく無視されて……気付いたら目には涙が浮かんできました。
僕は一体何を……している…………んでしょうか…………。
世の中の人はみんな真面目に働いて今日も生きてるんだと思いました。趣味に仕事に頑張って、未来にもちゃんとした見通しがあって……なのに僕にはなにもありません。僕は年収だけでなく、頭の中身も未来もゼロでした。
外に出ない……就活もしない……バイトもしない…………病気を治す気もない…………なんだか近ごろの僕は、この連載を始める前より色んなことが悪化しているような気がします。布団を被っても眠れないことが多くなりました。現実を直視するのはやっぱりつらいので、アドバイスに従って、妄想することにします。
婚活サイトでうまくいって、年収一千万円の美人と付き合って、芥川賞もらって、みんなからチヤホヤされて、ノーベル文学賞もらって、賞金で宇宙に行って、そのままもう地球には戻ってこないで、火星人と付き合って、幸せな家庭を築いて、解脱して、宗教の開祖となり、やがて火星の王へ……。
そんなことを考えていたら、一時的に日本に帰ってきたらしいミョンちゃんから「最近何やってんの?」とメッセージが来ました。しばらくの間熟考して、正直に何もかも言えば即、縁を切られる、と思い「就職活動」と答えました。
……僕よりダメな人って、この世にいないかもしれません。