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”当事者”に振り回されない生き方 介護、退学、綱渡り生活を送るシングルマザー女子大生

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シングルマザー女子大生 上原由佳子の事件簿

シングルマザー女子大生 上原由佳子の事件簿

祖母が腰を痛めてしまい、家事・育児・祖母の世話と、娘ちゃんが新生児だった頃に経験した毎日3時間しか眠れないという悪夢が再来しています。寝不足続きで思考回路はショート寸前♪ シングルマザー女子大生、上原由佳子です。

娘ちゃんが新生児の頃は、3時間おきに母乳をあげても、愛おしさでなんとか強烈な眠気も乗り越えられました。でも老人の唸り声が3時間おきに聞こえてくる日々はさすがに疲弊しちゃいます。 介護と育児をしているシングルマザーの皆さまの苦労を垣間見ています……。

想像以上に早く介護ライフがやってきてしまった上原。今回で「シングルマザー女子大生 上原由佳子の事件簿」は最終回です。最後は「綱渡りって大変だ!」という、お話を書いてみたいと思います。

その前にご報告。実は後期から全く大学に行けなくなっていました。お正月明けに心療内科に行ってみると、躁鬱と解離性障害の診断を受けました。もう大学に通うのは難しいんじゃないか?  休学は休学費用がかかるし、退学した方が良いのではないか? と、半年間ほど考えた結果、とりあえず大学を辞めてみることにしました(笑)。

でもただでは転びません。すでに再入学のタイミングを大学の先生と相談して決めています。実は上原の大学、再入学に必要なお金が、休学費用の約10分の1なんです。だから休学より退学のほうがお得(笑)。ちなみに県外の大学の先生から休学費用の話を伺ってみたところ、学費の半分くらいらしいです。上原の大学は学費の8分の1くらいで休学できるので、他大学はめちゃくちゃ高い! それにしても休学より退学のほうが安いのはびっくりでした。もし同じような悩みをお持ちの方は、休学費用だけでなく再入学費用の確認もしてみると良いのかもしれません。

普段はのん気な上原でさえ、この半年間は流石に辛かったです。大学には通えなくなってしまうし、大学を辞めると決めたら数日後に祖母が立ち上がれなくなっちゃう。その上、時計を持たず外で遊ぶようになった娘ちゃんの帰宅時間はどんどん遅くなっているし……。どこから手をつければいいのかわかりませんでした。それでも締切は毎週やってきます。重い腰をあげてパソコンを起動し、ワードを開いて、さあ書くぞ……と意気込んでも、聞こえてくる祖母の唸り声が気になって原稿なんて書けませんでした。だってイヤホンをしても聞こえて来るんだもん。

どうしよう書けない。進まない。眠たい。頭がボーッとする。娘ちゃんが帰ってこない。あ、もう18時30分だ。夕食の準備をしなきゃ。ああ、ばあちゃんが呼んでる。やっと娘ちゃんが帰ってきた。ねえ、心配するから遅くまで遊んでいないでよ。やれやれ、やっと就寝時間だ。でも原稿まだ終わってない。はやく書かなきゃ。ちょっとだけでいいから寝たい。うるさい! 唸らないでよ!  終わらない!

これが数日間続いたとき「当事者が声をあげられないのは、声を出す余裕がないんだよな~」と気がつきました。問題がすべて解決する特効薬なんていくら探しても見つからないし、「苦しい」って言うのもつらい。なかなか伝わらない。「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせても、ちゃんと出来ない自分に苛立つだけ。

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上原由佳子

1988年生まれ。沖縄県在住。シングルマザー女子大生。女子力の欠片もなさを小学1年生の娘ちゃんから指摘される、どうしようもない系アラサー女子。

@yu756ka