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全国最大規模の福岡県、鹿児島県を走る女性活躍推進電車…女性活躍推進法チェック【九州・沖縄ブロック】

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47都道府県ゴールの沖縄。有終の美は……飾れず。

さぁ、いよいよ長かったこの連載も、最後の1つを残すだけとなりました。最後は、沖縄県です。オオトリということで、勝手に沖縄県の女性活躍推進法に関する取り組みに期待を持っていますが……。残念ながら、沖縄県では主だった取り組みは見受けられません。沖縄県庁としての取り組み以外にも、県庁の外郭団体である「男女共同参画センター」や厚生労働省の管轄する沖縄労働局でも特筆すべき取り組みは見つかりませんでした。

沖縄県といえば、全国の中でも仕事に関する課題が多い県でしょう。平成25年に厚生労働省の行なった「賃金構造基本統計調査」によれば都道府県別の平均年収は、全国で最下位。全国1位の東京都と比べると、平均年収に247万円もの開きがあります。女性の就業率も、全国平均の71.8%に比べ、沖縄県では59.8%と、こちらも低くなっています(それぞれ経済協力開発機構、沖縄県企画部統計課より)。

4月から施行される女性活躍推進法は、こうした課題を多く抱える県こそが、大きく舵を切ることが期待されているのでしょうが、少なくとも沖縄県では、そうした取り組みは見られていません。女性活躍推進法は、せっかくの良い機会なのですから、全く取り組みを行わないのではなく、ちょっとした取り組みでも良いので、女性が活躍できる環境作りが前進していって欲しいものです。もちろんこうした問題は沖縄県のみで解決できるようなものではありません。国が力をいれなくてはいけないものです。女性活躍推進法は自治体や企業の問題だけではありません。国もまた女性が仕事に出られないのはなぜか、その背景を理解し、解決のために尽力して欲しいところです。

<沖縄県まとめ>
総合評価  ×
女性目線  ×
お役立ち度 ×
デザイン性 ×

・コメント
な、なにもしていない……。小さなイベントでも良いので、ぜひ開催してください。

個性豊かな47都道府県。心に残ったのは茨城県・福井県・広島県・福岡県。

さて、ここまで、全7回に渡り、女性活躍推進法に関する47都道府県の取り組みを調査してきました。まずはここまでお読みいただいた皆さま、ありがとうございました。

自分の住んでいる県はどうなんだろう? 自分の出身地はどうなんだろう? と、身近な県を入り口に、女性活躍推進法に関して考えるきかっけになれば幸いです。

最後に、47都道府県のまとめとして、心のに残った4県を紹介します。

まずは茨城県。「ハーモーニーフライトいばらき」という取り組みを行なっていました。この取り組みでは、なんと県のお金で、海外に視察に行けます。この取り組みによって、どの程度、女性の働きやすい環境が作られているのかは不明ですが、「無料で海外に行ける」というお得感から、心に残りました。

続いて、福井県。福井県では、県公認の「婚活サイト」がありました。登録は無料で、福井県内に所属する企業同士で合コンができます。47都道府県を通して、ここまで変わった取り組みをしているのは福井県だけでした。

広島県は、非常に悪いイメージです。この連載をはじめたきっかけとなったのは神奈川県が「女性が主役と言いながら、女性活躍推進法を検討するメンバー11名が全員男性」という皮肉的な状況を見つけたからでした。神奈川県は一部ニュースで話題になるなど、批判を集めていましたが、広島県は神奈川県以上にひどい状況でした。35名のメンバーが全員男性。さらには、神奈川県ほど批判を受けていないということにも、個人的には腹が立ちました。

最後に、今回の記事で取り上げた福岡県です。福岡県は、取り組みの数、そしてそれぞれの取り組みの質も、とても素晴らしいものでした。47都道府県を振り返って見ると、女性活躍推進法に関する取り組みでは、福岡県が日本一の県だと思います!

法律が変わるのではなく、私たちの心が変わっていく

法律は、施行されるだけでは意味がありません。特に、女性活躍推進法は、「国としてこんな方針でいくよ」というビジョンを示しただけの緩い法律で、罰則規定も持っていません。ですので、4月1日を過ぎただけでは、女性の働く環境は何も変わらないでしょう。そこで、様々な県が創意工夫を凝らして、女性が活躍することへの理解を広げていくことが重要になってきます。法律が変わるのではなく、私たちの心が変わっていく――女性活躍推進法はそんな法律になっていくことを期待していきたいと思います。
(増沢諒)

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