「あなたはいま、幸福ですか?」
こんな風に突然訊ねられたら、戸惑う人のほうが多いでしょう。五体満足で安定した職についているとしても、「健康でちゃんと働いて地に足がついた生活ができているし、まあ幸せかなあ。でも、本音を言うともっとお金があったら良いなあ、と思うし、現状すべてに満足しているわけではないし……」といった具合に考えてしまい、すぐには質問に答えられない人がほとんどではないでしょうか。
「年収が1,000万円の人は幸福ポイントが10点です!」、「既婚者は幸福ポイントが2点!」、「子供がいる方は3点! ただし、子供が4人以上いる方は自分の時間が持てなくなるためマイナス3点!」……そんなふうに幸福の目安となる質問項目が設定されているのであれば話は早い。
しかしながら、わかりやすい診断チャートのようなものは用意されていないのが現状ですし、おそらくそうしたチャートを作るのも難しいことでしょう。思うに、現状への満足度や将来への安心、自分の欲求とのバランスといった様々な要素が絡み合って人それぞれの幸福基準は決まってくる。そこに統一的な診断基準を設定するのは到底不可能な話です。
もちろん、男女によって幸福基準を構成する要素は異なってくるはずです。明治安田生命生活福祉研究所という民間のシンクタンクが過去に「何が女性を『幸せ』にするのか?」という調査レポートを発表しています。今回は、このレポートを参照しながら女性の幸福について考えてみたいと思います。
THE・女!! な生き方が幸せ?
このレポートは前述のシンクタンクがおこなった「女性の幸せに関する意識調査」をもとにしたものです。このときの調査方法はインターネット経由のアンケート。対象となっているのは20~58歳の女性で回答者2,579人のうち、66%以上が「配偶者あり」だったようです(この数字にはちょっと偏りが感じられるかもしれませんが、世代を問わなければ日本人女性の6割近くが配偶者ありだったため、構成的にはそれほど問題にならないと思われます)。アンケートでの質問は「現在の幸せ度」や「普段の生活で『幸せ』を感じるとき」、「自分の女らしさ」、「結婚や子供に関する意識」など多岐に渡っており、総合的に女性の幸福を捉えようとしたものだったと言えるでしょう。
レポートが面白いのは「現在の幸せ度(1~10点のうちどれかひとつを選択)」の回答結果を「幸せグループ(幸せ度を8~10点と回答した女性)」と「不満グループ(1~4点と回答した女性)」とで分けたとき、それ以外の回答結果にハッキリとした傾向の違いを指摘しているという点です。
たとえば、幸せグループがなにに幸せを感じているかを見てみると、圧倒的に「家族団らんのとき」を選んだ人が多く、逆に不満グループでは「1人でのんびりしているとき」を挙げている人が目立ちます。また、同じシンクタンクが、男性を対象にした同様の調査をまとめたレポート(『男性にとって”幸せ”とは?』)と比べると、女性の不満グループが選んだ「幸福」が、20代男性の傾向と似ていることも興味深い。はて、現状に不満がある女性は、20代の男性のような生活をしているということなのでしょうか?
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