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「現実ってなに? 命って? 魂って?」初音ミクを見て考えたこと

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 演劇の歴史では、現実と非現実の境目をなくす様々な試みがなされてきましたが、ここまで現実(ステージ)と非現実(ミクさん)が軽々と融合しているパフォーマンスは、初めて拝見したので、そのことに興奮したのです。

 っていうか、「ナチュラルに二次元が三次元と融合しちゃってるよ!」ってことに、日本中がもっと騒然としてもいいんじゃないか? とまで、思いました(いえ、すでに騒然となっているから、15,000人もライブに集まってらっしゃる訳で、僭越なことはなはだしい発言ではございますが……)。もっと硬派なメディアでも取り上げればいいのに(と思っていたら、NHKのクローズアップ現代に初音ミクさんが出演した時の映像を見つけました)注1。

 革命だと思いました。少なくともものすごい発明であることは確かだと思うのですが……いかがでしょうか。

 大切なことは、バーチャルなこのアイドル、もしくは技術が、15,000人もの人を動員し、その何倍もの人たちを元気づけている、ということだと思います。

ライブのセトリから筆者のお気に入り3曲

 「初音ミク」はそもそも2007年に発売された歌声を合成するソフトで、バーチャルアイドルとしての初音ミクは、その声にリアリティを持たせるための歌い手として生まれたそうです。ライブで演奏される楽曲は、ネットユーザー(プロの作曲家なども含まれるらしい)が初音ミクを使って作曲したオリジナル楽曲から、ニコニコ動画などで人気を博した作品が選ばれるそうです。

 テレビでライブを見た時点では、不勉強で、「初音ミク」を使用した曲をほとんど聞いたことがなく、耳が慣れていないので歌詞はほとんど聞きとれませんでした。にも関わらず、曲は全部、すごく面白いな、と感じました。

 歌い手のスキルや音域を気にせず作曲できるからでしょう、普段耳にするようなJ-popとはまた違った作風が新鮮でした。低音から超高音までの広いレンジを駆使できるのみならず、転調につぐ転調や変拍子を沢山盛り込んだ曲は、人間に歌わせるにはサディスティックすぎますが、ミクさんなら、なんら問題なくこなせるのです。人間の限界を超えた歌唱は聞いているうちに、快感になっていきました。

 そこで、歌詞も知りたいと思い、ネットでセトリ(注2)を調べ、「マジカルミライ2013」で演奏された全ての曲をニコニコ動画で拝見しました。

 全ての曲が胸に響いたのですが、その中でも、30代後半・社会人崩れである筆者の胸に特に響いた3曲を以下にご紹介します!

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』